第4話 心の支え

ダミアはそれから数日部屋から一歩も外へでなかった。食事は気づくと部屋の前に置いてある。シェリーがたまに来るが、ダミアは心を閉ざし、暗闇の中日々を過ごした。

コンコンとノックの音と共に声が聞こえる。

「こんばんは、ダミア。入ってもいい?」

いつか返してくれるのではと期待して、シェリーは毎回呼びかけてから中に入る。部屋の中で蹲っているダミアを見つけ、優しく微笑みながらこんばんは、ともう一度言った。

「今日はね、お話があるの。ううん、お願い。私ね、ダミアと友達になりたい。ダメかな。」

その言葉はダミアの凍りついた心を溶かすには十分だった。初めてだったから。人から好意を向けられることが。こんなにも優しい言葉かけてもらうことが。正しい愛情を与えてくれることが。

「友達なんか…いらない。」

それでもダミアは素直になれなかった。シェリーは断られたことよりも、ダミアから返事があったことが嬉しかった。

「友達はいらないの?いた方が絶対楽しいよ!」

シェリーは構わず話続ける。

「そうだ、今日は歌を歌ってあげるね。私よく上手いって褒められるんだ。」

そう言いながら咳払いをし、歌いはじめる。

「悲しみに溺れないで 朝になれば きっと 元気になるから 星が綺麗に揺れている こんな日は きっとどこかに いいことが待ってる 未来を諦めないで 雨はいつか きっと 虹になるから 星がたとえ見えなくても 私が貴方の手を引いて行くから」

シェリーの歌声は傷ついたダミアの心を癒した。余韻に浸るダミアにシェリーはもう一度聞く。

「私と友達になってくれますか。」

ダミアは涙を流しながら頷いた。

それから毎晩、シェリーはダミアの部屋に行った。

「こんばんは、ダミア。入ってもいい?」

「こんばんは、シェリー。いいよ。」

あの日以来ちゃんと返事が返ってくるようになった。二人はお喋りをしたり、シェリーが歌うのをダミアが聴いたりして日々を過ごした。

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