第3話 ダミアとシェリー

ダミアはセオドールに連れられ大きな屋敷の前に来ていた。

「ダミア君、今日からここが君の家だ。君と同じくらいの歳の女の子もいる。私の娘だ。名をシェリーという。仲良くしてやってくれ。」

そう言いながらセオドールは玄関の扉を開けた。玄関は細部まで装飾され、天井には巨大なシャンデリアが彼らを迎えた。すぐ正面の階段を上り、少し大きめの部屋に入った。

「おかえりなさい。お父様。」

すぐにシェリーが挨拶をする

「お父様。そちらの子は何方ですか。」

ダミアに気が付き、すぐに疑問を問いかける。

セオドールはダミアを前にだし、娘に紹介した。

「彼はダミア、訳あって孤児院から引き取ってきた。今日から一緒に暮らすことになるから仲良くしてやれ。」

ダミアは俯いたままシェリーと目を合わせようとしなかった。

「シェリー、空いている部屋が一つあっただろう。そこをダミア君の部屋にするから案内してやってくれ。」

シェリーは大きく頷き、ダミアの手を引いていった。そうして二人は長い廊下を通り、一つの扉の前に来た。

「これからここがダミアの部屋だよ。部屋がいっぱいあるから迷わないようにね。一番奥から四番目の扉ね。」

そう言いながらシェリーは扉を開ける。ダミアはやはり何も言わずに俯いていた。

「ねぇねぇ、ダミアは孤児院に行く前何処にいたの?」

シェリーは話がしたくてたまらなかった。屋敷の中にはシェリーの相手をしてくれる人は他にいなかったから、ダミアが来たことが余程嬉しかったようだ。

「……」

ボソッとダミアは何か呟いた。

「え?何?」

聞き取れなかったシェリーは聞き返すが、それ以上ダミアが言葉を発することは無かった。

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