第2話 コーンフォリス

それからすぐダミアは孤児院コーンフォリスに拾われた。両親からの暴行により腫れ上がった頬と痣だらけの身体。身に纏う衣もボロボロで、所々穴が空いていた。孤児院の中では孤立した。

「お前の服汚ねぇ。うわ、くせぇくせぇ!」

「何あの痣!病気なんじゃない?伝染るからこっち寄らないでよ!」

悪意のこもった言葉すら、心が壊れたダミアには伝わらなかった。ダミアは無表情のまま、彼らを眺めていた。



「ソフィア先生、こんにちは。最近子供達の様子はどうでしょう。」

孤児院の母であるソフィアにセオドールが尋ねる。セオドールはこの孤児院に資金提供している人であり、シェリーの父でもあった。

「あら、セオドールさん!ようこそいらっしゃいましたね。あの子達はいつも通りですよ。一人新しく来た子、ダミアが居ますが、あまり馴染めていないようで…少し心配ですね。」

「そうか、後で様子を見てくるよ」

そう言ってセオドールは孤児院に入っていった。セオドールは子供達から人気だった。それもそのはずだ。ここにある本や玩具は全てセオドールが持ってきたものなのだから。

「おじさん!今日は何を持ってきてくれたの?」

「ねぇ!肩車してよ!」

十数人の子供たちに群がられ、セオドールは身動き取れなくなった。

「ちょっとまてまて!これじゃ動けないよ。その前にダミアって子はどこにいるかな。」

子供達は一斉に部屋の隅を見る。セオドールはそこに座っている少年に近づき、声をかけた。

「君がダミア君かい?」

返事はない。ダミアはただ震えていた。

「うーん、これは酷いな。どうしたものか。」

セオドールは困った顔をしながら部屋を出ていった。

「ソフィア先生、ダミア君の事なんですが。この孤児院に馴染むのは難しいでしょう。僕が引き取っても構いませんか。」

ソフィアは少し迷ったが、すぐに頷いた。

「では書類を書かないといけませんね!今日連れて帰られますか?」

「ああ。」

「それじゃ、すぐに書いちゃいますね。」

ソフィアが書類を書き始めたのでセオドールは再びダミアの所へ行った。

「ダミア君、君は僕が預かることになったよ。今日、すぐに来てもらう。準備をしてくれ。」

ダミアは相変わらず震えていたが、セオドールは気にせず、他の子供達と遊び始めた。

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