第14話 王国を案内

フランは悩んでいた。


拓斗に王国や扉のことがばれて自分のことをどう思ったのか、嫌われたのではないか心配で夜も眠れず朝を迎えてしまった。

そのころ拓斗も同じく、いろいろなことを想像して眠れなかった。

拓斗はまだ肝心なことはわかっていなかった。

拓斗が知ったことは、フランはどこかの王女で真也も王子で、あの扉が王国とつながっているということだけだ。

フランたちが小人族とはまだ知らなかった。

フランはすべてばれてしまったと勘違いしている。

拓斗は何度考えても王国とか、扉の向こうにつながっているとか信じられなかった。

アニメでもあるまいし現実に、しかも自分がそんなことおきるなんてやはり信じられなかった。

もやもやしていた拓斗は決心して、朝早くフランに会いにいった。


「フラン……」


「拓斗……」


「拓斗、昨日は何も言えずにごめんなさい」


「フラン、どうしてもわからないんだ。王女とか王子とか」


「そうよね。わからなくて当然よ」


フランは拓斗に申し訳ない気持ちで悲しくなった。


「フラン、おれお前の王国を見てみたい。自分の目でちゃんと見て納得してフランや真也と接したいんだ」


「えっ! 王国を見たい?」


フランは驚いた。

どうしたらいいのかフランはしばらく考えていた。


「いいわ、拓斗。今から王国に行きましょう」


「いいのか?」


拓斗もすこし不安だったが、気持ちをすっきりさせるためにも行くしかないと思った。


「じゃあ、拓斗ついてきてください」


フランは扉をあけた。


おそるおそる拓斗はフランに続いて階段をおりていった。


――なんだただの階段か?本当に王国なんてあるのか?フランと真也に騙されたのか?

  

拓斗は思っていた。

しかし拓斗は何か体に違和感をかんじていた。

階段をおりきり扉をあけた。


ぎーっ!


「どうぞ拓斗、お入りください」


フランは拓斗を招きいれた。


「ここはなんだ?」


拓斗が、あたりを見回すと大きな木の幹がそこら中にすてきにうねっている。ところどころに

扉があるようだ。


「拓斗、国王と女王に挨拶にまいります」


「てか、君は誰? フランなのか?」


「そうですよ、本当のフランです」


「拓斗、こちらに来て自分をみてください」


「わっ! なんだ! これおれか?」


「そうです。この小人王国での拓斗はこんな感じなんですね」


――人間界の拓斗より、小人王国の拓斗のほうが素敵。


ドックン!!


――もう~わたしったら。こんなときになにを考えているのかしら~


「小人ってなんだ?」


拓斗は聞いてきた。


「えっ! 拓斗昨日聞いていたんじゃなかったの?」


フランは焦った。


「あなた、そこは知らなかったのね。でももうしかたないわ、説明します」


「わたくしはこの小人王国の王女です。そして、ここは小人族が住む王国なのです。そしてわたくしは、あることをするために人間界にまいりました。あることとは……」


「フラン、帰ったのですか?」


女王が近寄ってきた。


「あっ、ただいま戻りました」


「フラン、そちらの方は?もしや……」


「あっ、お母さ……いえ、女王……」


「こちらに早くお連れして」


女王は勘違いをして拓斗は王座に通された。


「フラン、よくぞ戻った」


「国王、ただいま戻りました」


国王とフランのやり取りを、拓斗は他のことを考えていてあまり聞いていなかった。


――ほんとに王国らしい。そしてさっきの小人ってなんだ?夢ではく俺も今小人になっている。

  もう、何がなんだかわからない。


「フラン、さっそくそのものを紹介しなさい」


「あっはい。こちらは拓斗といいます。人間界からお連れいたしました」


「……」


「拓斗! 拓斗!」


「あっ! なんだ? フラン」


「なんだじゃないわ。国王にご挨拶して」


「おっ! ごめん!」


「拓斗といいます」


「拓斗かあ。よくきてくれた。ようやくこの国も安泰だあー。フランよかったな、結婚相手が見つかって。よくやった」


「えっ!? 結婚相手?」


拓斗は驚いた。

フランは拓斗を見ながら苦笑いしている。


「国王、わたくしはこれから王国を案内してまいります」


「そうだなフラン、しかと案内してくれ」


王様も女王もとてもうれしそうだ。


フランと拓斗は外にでた。


「ごめんなさい、拓斗」


「フラン、どういうことなんだ? 結婚って」


「実は、わたしは結婚相手を探しに人間界に行ったの。人間界から男の人を連れて帰ったということはそういうことだろうとみんな勘違いしているということに……」


「まじか」


「でも大丈夫。あとでちゃんとみんなに説明するわ」


拓斗は結婚という言葉に驚いていた。それもそうです。高校生が結婚なんて考えるわけが

ありません。それどころか、拓斗はまだ女の人とお付き合いをしたこともないのです。


拓斗はフランに王国を案内してもらった。

拓斗は周りを見渡した。

自然に囲まれた空気の綺麗な町でした。

人間界とは違って建物や車がありません。

木1本1本がそれぞれの家のようです。そして、木の中に部屋があります。

拓斗はなんだか、久しぶりに心が休まり落ち着いた気分になりました。


――なんて気持ちのいいところなんだろう。フランと結婚したらずっとここにいられるのかな~

  わっ、何考えてるんだおれは。


「お~い! フラン!」


遠くからダニエルとシオンがやってきた。


「ただいま」


「お前は拓斗だな」


拓斗は二人の顔をじっとみて気づいた。


「も、もしかしてダニエルとシオンか?」


「そうだよ。よくきたな」


三人は抱き合って再開を喜んでいた。


「そういえばフラン、結婚はいつなんだ?」


「えっ、ち、違うの」


フランは照れながらこたえた。


「違うってどういうことなんだ?」


「この間、真也がきたときは真也が結婚相手かと思ったけどまだ違うっていって次に来る時は結婚相手としてくるって言ってたんだ、そしたら拓斗が来たからてっきり……」


ダニエルとシオンはどうなってるのか問いただした。


――この間の薬のとき真也がここにきたんだな。真也も小人なのか。


拓斗は思った。

フランはこれまでの経緯をダニエルとシオンに全部話した。


「実は……、ペーターと……、扉がばれて……連れてきた」


「そっか、それは残念だな」


「まあ、とりあえず、人間界でのお礼を兼ねて町を案内するよ」


拓斗はみんなにつれられていろいろ案内された。


木の実がおいてあるお店。


「はい、食べてみ?」


「あっうん。すっぱ」


「はっはっは。それは一番すっぱい木の実だよ」


「おい。まじすっぱ」


「ごめん。じゃあこれ食べてみ」


「んっ」


拓斗は一度騙されたから警戒している。


「今度は大丈夫だから」


ダニエルはまた差し出した。

拓斗はもう一度だけ騙されたと思って食べてみた。


「うっ、う、うまい。これは甘くてすごくおいしい」


「だろう。これは一番甘くておいしい木の実なんだ」


拓斗は初めて目にするもの食べるものが新鮮で楽しくてしかたがありませんでした。

他にも木の板に文字が書いてある本?のお店、それに布切れが置いてあるお店にもいった。

布切れは自分たちで服をれるそうだ。教わりながら拓斗も自分の服を作ってみた。

4人は色違いでおそろいの服を作りみんなで着てみた。

とてもかわいくおしゃれにできた。

そしていつもの赤い木に登った。拓斗もはじめて木登りをした。人間界で木登りをしたこと

がない。拓斗はうれしかった。何か気持ちが解放された気分だった。


――帰りたくないな~ずっとこのままここでみんなといたいな~


「拓斗そろそろ人間界に帰ろうか」


フランはこのまま拓斗にいてほしかったが、こんな状態できた拓斗を引き留めることは

できなかった。


「そうだな。ダニエル、シオン、今日はありがとう」


「おう!またな、拓斗」


フランは国王と女王に説明して拓斗と一緒に人間界に戻っていった。

また、階段を上り拓斗は元の拓斗の姿に戻りフランは人間界でのフランの姿になりフランの

家に戻りました。


「フラン、今日はありがとう。このことは誰にも言わないから安心して」


「じゃあ、また明日」


そういうと、拓斗は帰って行った。

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