第13話 秘密の扉があばかれる

いつもの日常が始まった。


フランは拓斗と一緒に学校にいった。


「おはようございます」


クラスメイトに挨拶をして席についた。


「真也さん、おはようございます」


「おはよう、フラン」


――真也さん、今までとかわらないわね。別人みたい。ふふっ。


「どうした?フラン」


拓斗はフランがちょっと笑っていることが気になった。


「なんでもないです」


フランは照れながら言った。


「フラン、体育の授業だから更衣室に行くよ」


優希が呼んでいる。

優希はあれ以来フランに意地悪をすることはなくなった。

それどころか、お互いになんでも話せる本当のお友達になっていた。

だが、フランは小人族だということを隠していることが心苦しかった。


女子は体育館でバレー、男子は隣でバスケの授業でした。

拓斗は何をやってもさまになりかっこよく、女の子たちはきゃあきゃあ騒いでいました。

真也ももちろんシュートをガンガン決めて、女の子たちはきゃあきゃあ騒いでいた。

フランも二人の姿をみて、かっこいいと心の中で思っていました。

そんな様子をみていた優希はフランに聞いた。


「フランは拓斗と真也どっちが好きなの?」


「えっ!」


フランは突然きかれて驚いた。


「好きっていうか、好きかわからないっていうか……。」


――もし拓斗のことが好きでも王国に連れてかえらなければならない。そんなことできるだろうか?。真也を選べば、小人族だからいいけど2つの王国はどうなるのか心配。どうしたらいいのかわからない。


「ふーん。もたもたしてるとわたしが取っちゃうよ。なんてね」


優希は冗談っぽくいった。


「女子試合やるよ」


先生がいった。

優希もフランもコートにたっていた。

それを男の子たちはちらちら見ていた。

フランは可愛いので人気があった。

拓斗と真也もフランをみていた。


「なあ、拓斗。フランのことどう思ってる?」


「どうって?」


「おれさあ、フランのこと好きなんだ」


「えっ!」


拓斗は驚いた。


「拓斗はどうなんだ?」


「おれは、別に」


拓斗は言った。


「そうか、よかった。拓斗が相手じゃ勝てないからな」


真也は拓斗が本心じゃないことに気がついていた。

というか拓斗自身がまだ自分の気持ちに気づいていないことに気づいていた。

拓斗は少し心がざわついていた。

それぞれの心が少しづつ動き出していた。


男子のバスケのボールが、バレーをしているフランの足元に転がってきた。

フランはそのボールにつまづいてたおれてしまった。


「フラン! 大丈夫?」


女子たちが騒いでいた。

それを聞いた拓斗と真也も走りよった。


「フラン、大丈夫か?」


「だ、大丈夫です」


フランは少し痛いけれど我慢してこたえた。


「医務室に連れていきます」


拓斗はフランを抱きかかえ医務室に運ぼうとしている。


「えっ! 拓斗! 大丈夫です。やめてください。恥ずかしいです」


ドックン!!ドックン!!ドックン!!


――拓斗に心臓の音聞こえちゃう。やだ、恥ずかしい。


「一応医務室に行こう」


拓斗はフランを抱きかかえたまま医務室に運んだ。

その姿を真也は黙ってみていた。

女の子たちはきゃあきゃあ騒いで、顔を赤らませて羨ましそうに見ていた。


「拓斗、ありがとう」


「軽い捻挫でよかったな。フラン」


体育が終わった真也と優希が医務室にやってきた。


「大丈夫?フラン」


「大丈夫です。軽い捻挫だそうです。ご心配おかけしました」


「でも、拓斗かっこよかったよ。フランを抱きかかえて」


優希がいうと、拓斗は真也を見て答えた。


「ごめん、何も考えずにやってた」


「別に、ごめんじゃないよ。よかったなフラン、たいしたケガじゃなくて」


「はい。歩けそうなのでよかったです」


授業がおわり4人で帰った。


「フラン、大丈夫か?」


真也が気にかけ声をかけた。


「大丈夫ですよ。そんなに痛くありませんから」


真也はフランの鞄をもっていた。


「フラン、おれも家まで送るよ、鞄持ってるしほらこんな時にカラスにでも襲われたら困るし、拓斗だけだと困るだろ」


「あっはい。じゃあお願いします」


拓斗は少し複雑な顔をしていた。

フランの家の前についた。


「じゃあな、拓斗」


真也が拓斗を追い払うかのように先に挨拶をした。


「おう、じゃあ」


拓斗も答えた。

フランと真也を二人で残したことが気になり、何度も振り返りみていた。

真也がフランの家に入っていくところをみてしまい、どうしても拓斗は気になりフランの

家の玄関を開けた。


――おれ、何してんだろ。やっぱり帰ろう。


そう思い直して帰ろうとしたとき、姿は見えないが真也とフランの声が聞こえた。


「フラン王女、本当に足のケガ大丈夫なのですか?」


「ペーター王子、大丈夫です。少し痛む程度です」


「わたくし王国にもどり薬をもってきましょうか?王女」


拓斗は頭の中が混乱していました。


――おれは、今だれの話を聞いているんだ?声はフランと真也の声に聞こえるけどペーターってだれだ?王女?王子ってなんだ?


拓斗はフランの家の居間をおそるおそる覗いた。

そこには、やはりフランと真也がいた。


「ペーター王子、でしたらわたくしの王国にいってお薬をもってきていただけますか?」


「王女、わかりました。いってまいります」


フランは扉の紋章にネックレスを近づけて扉をあけました。


――えっ、なに?


拓斗は驚いてみていた。


「では、いってまいります」


真也はそういうと扉の中に消えていった。

拓斗は驚きながらもフランに声をかけた。


「フラン!」


「えっ!拓斗」


「フラン、今のはなんだ? 真也はその扉でどこにいったんだ?」


「拓斗、あなた見てたの?」


「フラン、ペーターってだれなんだ? 説明してくれ。いや、やっぱいい。おれ帰る」


「拓斗!待って」


フランは拓斗の腕をつかんだ。


「ごめんフラン、今日はもう何も考えられないんだ」


拓斗は、フランの手を振りはっらてかえってしまった。


――どうしましょう。拓斗に扉のこと王国のことがばれてしまったわ。


――――


しばらくすると真也がフランの王国から薬をもってかえってきました。


「ただいま戻りました、フラン王女」


「おかえりなさい、ペーター王子。ありがとう」


「王国の国王と女王にお会いしました。心配してましたがわたくしがついてお守りするといったので安心しておりました。次にお会いするときにゆっくりとご挨拶いたしますと話してまいりました」


ペーターはフランの足に薬をぬった。


「これで、すぐによくなるでしょう」


「ありがとう、ペーター王子」


「フラン王女、どうしたのですか? なんか元気がないようですが」


「いえ、大丈夫です。疲れたのでしょう」


「では、わたくしは帰ります」


「本当に今日はありがとう。ペーター王子」



フランは拓斗にばれてしまったことを気にしていた。


――どうしたらいいのでしょうか? とにかく明日、拓斗とお話しをしなくては。

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