第12話  揺れ動く女心

「フラン! おれたちそろそろ国に戻るよ」


ダニエルとシオンはいった。


「そう、寂しくなっちゃうよ。やっぱり二人がいると心強いし」


「大丈夫だよ、お前なら。助けてくれる友達もいるしな」


ダニエルが寂しそうにいった。


「よし、気が変わる前に帰ろう。ダニエル」


「そうだな、シオン」


2人は智美さんたちにお礼をいい、扉から帰っていった。


「またな、フラン」


「うん。またね、ダニエル、シオン」


ぎーっとゆっくりと扉は閉まっていった。


2人がいなくなり寂しいフランでしたが、そんな二人のためにもお国のためにも一刻も早く

結婚相手を探さないと、と切り替えて意欲をわかすフランでした。


――――


そんなある日、真也がフランの家に突然やってきました。


「どうしたんですか?真也さん、突然家に来るなんて」


「フランにききたいことがあって」


「何でしょう。真也さん」


「実は、フランの持っているネックレスなんだけど……」


「えっ、ネックレスがどうしたのですか?」


「おれも同じのもってるんだ」


「えっ!似ているものですか?同じはずがないので」


「これだよ」


真也は首からとりはずしてフランに見せた。

フランは見て驚いた。

自分の首からもとりはずし二つを見比べてみた。

中の紋章は違うようでしたがそのほかは一緒。何より二つ並べると共鳴して点滅しながら

光っている。


「どういうことなのですか?」


フランが問いかけると真也はいった。


「フランは小人族だろ」


フランはばれたことに驚いて何も言えなかった。


「フラン大丈夫だ、おれも小人族だ」


「えっ!!!」


「この間、王国に帰ったとき国王から話を聞いた。フランたちがおれたちの王国を見つけてくれ

 たと。自分たち以外に小人族がいるなんて思ってもいなかったからうれしかったんだぜ」


――たしかあの王国の国王が息子は修行中だといっていたけど……。


「本当なのですか? 真也さんがあの王国の王子なのですか?」


「そうです。わたくしがあの王国の王子ペーターと申します。フラン王女」


フランはペーターに抱きつきました。


「なんか嬉しです。こんな近くに小人族がいらっしゃったなんて」


ペーターは抱きつかれて喜んでいいのか戸惑っている。


「わたくしもとても嬉しいです」


ペーターは答えた。


「でも、なぜわたくしが小人族と気づいたのですか?」


フランは疑問に思った。


「最初に人間界の食べ物を知らなかったことです。そしてお金のことも知らない。最後はネックレスを見たときです。でも小人族がほかにもいることをにわかに信じられず今日になってしまいました」


「じゃあ、オムライスを進めてくださったのは……」


「フラン王女、そうです。もしかしたらと思い小人族が誰でも一番好きな食べ物の(アンタマ)に似ているからおすすめしたのです」


「そうだったのですね。本当においしかったです」


「ところで、なぜお名前が違うのですか?」


フランは疑問に思った。


「あっ、真也ですか。さすがに人間界でペーターって違うかなって。漢字という文字があって2文字か3文字でかってに作ろうと思い真也にしました。へへっ」


「さすがですね、真也さん、あっ、ペーター」


フランは言い直した。


「でも、真也さんはすごくチャラい感じでしたけれど、ペーターからはチャラさが感じられませんが……」


フランが聞くとペーターは答えた。


「わたくしが読んだ人間界の本がありまして、まじめな男よりチャラい方が女の人に好かれるとかいてあったのでチャラい感じで演じてました」


「そうだったのですね」


フランは、苦笑いした。


「人間界へは、いつごろ来られたのですか?そして修行ときいていますがどのような……」


ペーターは答えた。


「今から1年前です。人間界での食べ物や洋服などわが国でまねできることはないか少しづつでも何かを取り入れられないのか、わたくしが勉強してわが国にもって帰るつもりでした」


「そうでしたか」


「フラン王女は何故人間界に」


ペーターは聞いた。


「わたくしは、け、結婚相手を探しにまいりました」


「えっ?」


ペーターは驚きました。


「もしかして、やはり人間界の技術を盗むと同じく人間界の男の人を国に招きいれるということなのですか?」


「その通りです。人間界の男の人をわたくしは連れて帰らなければなりません」


フランがそう話をすると、ペーターは少し考えてこう話した。


「フラン王女、その結婚相手はわたくしでも構わないのでしょうか。わたくしは人間界にて技術を学びにやってまいりました。すこしづつでも取り入れていく自信はあります」


ドックン!!


――突然そんな話をするなんて、困ってしまうわ。


突然のことにフランは戸惑っていました。


「ぜひ、わたくしにもチャンスをいただけないでしょうか」


ペーターは男らしく必至にうったえた。


「ペーター、わかりました。考えさせてください」


フランは答えた。


「学校では引き続き真也でお願いします。これからは、わたくしがフラン王女をお守りいたしますから」


「はい。よろしくお願いします」


フランは心強く思った。

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