第11話 小人族人間界に現る

「ダニエル、シオン!」


フランは二人の名前を呼び、抱きついて喜びました。


――だれなんだ、あの二人は。


拓斗はその様子を見て、嫉妬心をかき乱されていました。

真也も優希も驚きを隠せませんでした。


「なんであなたたちここにいるの?」


フランはいつものように話をした。


「フラン、誰なんだ?」


「あっ、ごめんなさい拓斗」


「皆さんに紹介します。こっちがダニエル、そしてこっちがシオンです。わたしの大事な幼馴染です」


「ダニエルです」


「シオンです」


「フランがお世話になってます」


「いえ」


拓斗がすこし気に入らない感じで答えた。

フランが拓斗と真也、そして優希をダニエルとシオンに紹介した。


――こっちが拓斗かあ~


ダニエルは拓斗を睨んだ。


――なんだこいつは。


拓斗も睨み返した。


フランはとにかくなぜ人間界にきたのか聞きたくて早く家に帰り聞きたかったのです。


「申し訳ありませんが、二人を早く智美さんたちに紹介したいのでお先に失礼いたします」


フランはダニエルとシオンを連れて家に帰った。


「あれは何なの?幼馴染がきたら、こっちはそっちのけね」


優希はここぞとばかりに拓斗に向かって言った。

拓斗は複雑な気分だった。

真也は何か考え事をしていた。


「じゃあおれ、こっちだから」


拓斗は帰っていった。


真也と優希の帰り道はもう少し一緒だ。

真也は優希に話をした。


「なあ、お前フランに意地悪するなよ」


「なんのこと?」


優希はとぼけていった。


「フランの大事なネックレス隠しただろう。いくらフランのこと気に食わなくてもそんなことはしない方がいい」


真也はいった。

優希は困ったように言った。


「だって、拓斗がフランばかり気にするから、ちょっと意地悪しようとかくしたけどすぐに返すつもりだったのに大げさになっちゃって返せなくなっちゃったんだもん」


「拓斗の気持ちは知らないけど、優希はそのままで可愛いんだからもう意地悪とか似合わないぞ」


ドックン!!


優希の心臓が大きく音をならした。


「なにいってるのよ、真也のくせに……」


優希は顔を赤らませながらいった。



「ただいま戻りました」


フランは家にダニエルとシオンをつれて帰った。

お店から智美さんがきました。


「おかえりなさい、フラン。お友達には会えたかしら?あ~無事に会えたのね」


「智美さん知ってたのですか?」


「いいえ。突然、ここの扉から二人が出てきたときは驚きましたよ。でも、話を聞いてフランの幼馴染だとわかって安心したわ」


「そうだったんですね。わたくしも驚きました。突然現れて、しかも少し大人になってたから気づきませんでした」


「俺たちもフランが少し大人になっていたから驚いたよ。でも、すぐにわかったよ」


ダニエルとシオンがいった。


「ゆっくりしていってね。フランは今日はお仕事手伝わなくていいわよ」


「智美さん、ありがとうございます。そうさせていただきます」


フランは二人を自分の部屋に案内した。


「ここが、わたしのお部屋よ」


「なんか、かわったものがたくさんあるんだな」


「それはそうと、なぜ人間界にきたのよ。王国になにかあったの?」


「違うよ、フラン。フランから人間界の話を聞いてから、どうしても自分たちの目で確かめたくて」


「それにフランのことも心配だったしな。だから、王様に頼んで許可もらったんだ」


「ありがとう。ダニエル、シオン」


「でも、最初はビビったよ。階段のぼって扉あけたら人間界だし、体はお互いに少し大人になってるし、家からでたとたんカラスに追いかけまわされるし」


ダニエルが言った。


「外は、建物ばかりだな。大きな乗り物もあって驚いたよ」


シオンも言った。


「そうでしょ。わたしもあの乗り物、車っていうんだけど最初は驚いたよ。人間界では車と自転車とバイクという陸で乗れるものがあるらしいよ。空を飛ぶのには飛行機というものにのるらしい」


フランも自慢げに話した。


「ダニエルとシオンは、いつまでいられるの?」


「そんなにはいられないんだ。2.3日で帰らないと」


シオンがこたえると、ダニエルが話始めた。


「人間界にいる間にいろいろと探検にいきたいな。子供の時みたいにな」


「いいねそれ」


フランがうれしそうにこたえた。


「じゃあ、明日にでも拓斗に案内してもらおうよ」


「う、うん」


ダニエルとシオンは少し寂しさを感じた。

その夜フランの部屋に2枚布団を敷いてもらい一緒に寝た。


次の日、今日は学校はお休みです。

早速、フランたちは拓斗の家に行った。


「おはようございます、拓斗」


「おう、おはよう。朝から3人でどうしたんだ?」


「拓斗、今日お暇かしら?」


「ひ、暇かっていわれたら暇だけど……。なんで」


「よかったわ。じゃあ、一緒に町を案内してくださらない?」


「おれが?」


「別に嫌ならいいけど……」


と、ダニエルがいうと拓斗がすぐに答えた。


「いいけど」


「よかったわ、じゃあお願いします。拓斗」


四人でお出かけすることになった。

とりあえず、町をぶらぶらすることになった。


「ねえ、ダニエル見て。あの大きな木登れるかなあ」


「登れるよ、簡単さ。フランも登れるよ。登りたければまた、教えてやるよ」


「ありがと、ダニエル」


「いろんなお店がありますね。食べ物が豊富です。作り方を教えてもらいましょうかね」


「シオンは、本当に熱心ね。いつもいろんなことを考えているよね。わたしも見習わなくっちゃ」


こんな会話を拓斗は黙ってきいていた。

拓斗はフランの話し方が丁寧語ではなく気楽に話していることに嫉妬していた。


――なんでこんなに俺は嫉妬しているんだ。昨日はダニエルとシオンがフランと一緒にいると思ったら眠れないし……。何なんだこの感じは……。


「お腹すかないか? そろそろお昼でも食べに行かないか?」


拓斗が提案した。


「そうね。お腹すいたわ。わたしオムライスを二人に食べさせてあげたいんだけど近くにあるかしら?」


フランがお願いしてきた。


「わかった。オムライスならおいしいところがあるよ」


拓斗は自慢げにいった。

拓斗は3人をある喫茶店に案内した。

カラーン!チリーン!扉を開けた。


「いらっしゃいま……」


「拓斗!」


優希だった。


「あら、フランも。そしてお友達もいるじゃない」


優希は残念そうにいった。

4人掛けテーブルに案内されダニエルの隣にフラン、フランの前に拓斗、拓斗の隣にシオンという感じに座った。


「ここは、優希の家なんだ。休みの日は手伝ってるんだ」


拓斗は教えてくれた。


「オムライスならここがおいしいって思って」


拓斗はうれしそうに言った。


「ダニエル、シオン!オムライスという食べ物はね、ご飯の上にふわふわの卵がのっていてすっごくおいしいの。(アンタマ)みたいで食べやすいの」


「アンタマ?」


拓斗はきいた。

フランは慌てて答えた。


「な、なんでもないの。オムライスのような食べ物だけどわたしたちは(アンタマ)と呼んでいたのよ」


「へえ、そうなんだ」


拓斗は納得していなかった。


「とりあえず、じゃあオムライス4つでいいか?」


「うん」


3人は答えた。

オムライスが4つテーブルに届いた。

ダニエルとシオンは目を輝かせていた。


「ねえ、すごいでしょ。早く食べてみてよ」


フランはせかした。


「なんだこれは、うまい」


ダニエルが言った。


「卵がふわふわだ」


シオンがいった。


「拓斗、本当にここのオムライスはこの間のよりおいしいわ」


「だろう」


拓斗は自慢げだった。


「なんで拓斗が自慢げにいうのよ」


優希がいった。


「確かに」


拓斗はいった。

お会計は二人の分はフランが払った。

ダニエルとシオンはお金に驚いていた。


「驚いたでしょ」


フランは自慢げに言った。


「また、ゆっくり教えてあげるね」


4人は喫茶店を出て帰ろうとしていた。

またもや、カラスが待ち構えていた。


『カアーカアー』


1羽のカラスが泣くと近くにいたカラスたちが集まってきた。


『カアーカアーカアー』


「これはヤバいな」


ダニエルがビビッている。

次の瞬間、カラスたちが一斉に襲いかかってきた。

ダニエルとシオンは必至にカラスを追い払っている。

拓斗はフランを抱きかかえ、カラスを追い払い、カラスに服をひっぱられても

フランを守っていました。

ダニエルとシオンはカラスを追い払いながらも、拓斗がフランを守っている様子を

見ていました。

フランも拓斗が必死に守ってくれている姿を見て、ドックン!!


――なんて素敵なんだろう。


カラスたちはようやくあきらめ逃げていきました。


「拓斗、大丈夫?」


「うん、大丈夫だよ。フランは大丈夫か?」


「うん」


フランはこたえた。


「ダニエルとシオンも大丈夫? ケガしてない?」


「うん、大丈夫だよ」


ダニエルとシオンはこたえた。

4人は家に帰っていった。

ダニエルはフランに先に家に入るように言った。

ダニエルとシオンは拓斗と話がしたいようだ。


「拓斗、フランを頼む。一人で心細いと思うからちからになってやってくれ」


シオンが頼んだ。


「さっきはカラスからフランを助けてくれてありがとう。フランを頼むな」


ダニエルも頼んだ。


「俺たちはもう帰るよ。フランがどんなところで生活しているのか心配だったけど安心したからな」


「そうなんだ。また、遊びに来いよ」


拓斗も本心からいった。


「じゃあな」


2人は家に入っていった。

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