第3話 老舗和菓子屋

桃園家を紹介しよう。


智美が桃園家の娘、晃が婿養子。

晃が6代目主人となって老舗和菓子屋の後を継いでいる。

智美と晃には、息子の碧(あおい)がいる。

7代目として碧は修行中である。


フランはとても綺麗な和菓子をみて目を輝かせている。


「和菓子とはなんですか?」


智美はとにかく食べ物だと説明した。


「フラン!食べてみてください」


フランは一口食べてみた。


「甘くておいしい……ですわ」


お店にお客が入ってきた。


「こんにちは」


「いらっしゃいませ」


智美は接客しはじめた。

注文を受けて箱に入れ包装紙に包んで紙袋に丁寧に入れて、お客に渡していた。

お客からお金をいただいて送り出していた。


「いつもごひいきにありがとうございます。またおまちいたしております」


フランはなにをしているのかさっぱりわからなかった。

物と何かを交換するのは王国でもあることだからわかるがそもそもお金というものを知らない。

お金でものを買うことができることなど知るわけがない。

フランは目を輝かせながらこの一連のやりとりをみていた。


「わたくしにもできるかしら? わたくしもやってみたいです。手伝わせていただけませんか?」


智美は不安でしたが、すこしづつ教えていこうと思いました。


 ――まずは、お金でものを買うことができるということを説明しなくちゃ……。


「いいですよ。では、学校から帰ってきたらお手伝いしてもらうということでいいですか?」


「はい。ありがとうございます」


フランは、とてもうれしそうにこたえた。


智美はフランを違う部屋に連れていった。

ここは厨房です。

和菓子職人が和菓子を作っています。

そこには、晃と碧そして晃の下で働いている職人が1人。厨房には3人いました。

フランはこの人達がこの綺麗なものを作っているのだと驚きました。


「本当にすばらしいです」


思わず声をあげてしまいました。

3人は振り向きました。

智美がつかさずフランを紹介しました。

フランも挨拶をして、違う部屋に移動しました。


「フラン、ここが居間になります。みんなが集まってご飯を食べたりお話しをしたり憩いの場です」


「そしてこの扉がフランがやってきた扉。王国とつながっている扉です。こちらからはあきません」


フランは扉に紋章があることに気づきました。


「大丈夫です。このネックレスがあれば開くはずです」


仕事を終えた晃と碧が居間にきました。

4人でテーブルを囲い夕食を食べながら人間界の話をたくさん教わりました。

もちろんお金の話も。


今日は突然人間界に来くることになって不安だったけれど、みんないい人たちでよかったと

思うフランでした。

フランにとって刺激的な一日だったことでしょう。

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