怒りっぽい悪霊さんは許せない
Zホホ
第1話 カップル来た潰す(怒
悪い子も眠る深夜。
廃墟となったホテルをライト一つで彷徨う、2つの人影があった。
「……ねぇ、ホントに大丈夫なの?」
「大丈夫だって。何かあっても俺が守ってやるよ」
「でも………」
どうやらカップルでの肝試しらしい。
彼氏の方は吊り橋効果で心の距離をより近くにするのが目的のようだ。
しかし、彼女はガチで怖がっているので、半分無理矢理連れて来た彼との心の距離はかなり開いてしまった事にまだ気付いていない。
このまま2人が何事もなく明日を迎えれば、彼女は改めて別れようと言うだろう。
何事もなければ、…………の話だ。
◇ ◇ ◇
くそぉぉがァァァァァ!!!
何なんだ、素晴らしき丑三つ時で元気いっぱいの俺様を前にしてイチャコラしやがって!
一度も彼女が出来た事のない俺様への当て付けか?当て付けなのか!
こちとらメンタル繊細なんだぞ!馬鹿にするな!
ヨォぉ死、良いだろう。
そっちがその気なら此方にも考えがある。
テメェらに、人を呪ったら呪い返しされて悪霊化してしまった俺様の力。
見せてくれるわァ!!!
◇ ◇ ◇
2人は順調に廃墟の探索を終えもう少しで入って来た玄関まで戻ってくる。という所まで来ていた。
「ほらな?何も起きなかったろ?」
「…うん……」
彼は今更になって彼女の機嫌が物凄く悪いという事に気付いたが、もう後の祭り。
ここからの名誉挽回は無理だろう。
何故なら彼はコレから死ぬよりも悍ましい目に合うのだから。
…………
……
初めに違和感に気付いたのは彼の数歩後ろから着いていく彼女だった。
「えっ」
突如、彼女は驚きの声を上げ足を止める。
「ん?どうしたの?(危ないチビる所だった……)」
彼は急に声を上げた彼女に驚いて振り返ると、彼女は顔を真っ青にして手を震わせながら彼のとある場所を指差す。
その先には。
「ーは?」
歪に肥大化して服の内側でモゴモゴと蠢いている自身の右腕があった。
◇ ◇ ◇
イッヒャヒャヒャヒャ!!
見たかよリア充野郎の間抜けなツラ!
態々、憑いて無意識に右腕を気にしないようにした甲斐があったぜ!
おっ、女が逃げやがった。
ヒデェな、おい!人の風上にも置けねぇやつだ。
このまま全身を膨張させて男を殺すのは芸がないな。やっぱり、リア充という邪悪にゃあ絶望を知って貰わねェと。
この世には希望なんてあちゃダメなんだってことんな!
よし決めたぜ。
テメェらを地獄に突き落とすのは。
ーーーリアル鬼ごっこだ!
◇ ◇ ◇
彼女は三階の一室に1人逃げ込み、震えを抑えながら息を整える。
「…ハァ、ハァ……(逃げちゃった…)」
愛なんてなかったが、それでも1人の明らかにヤバい状態の人を怖さのあまり置いて逃げてしまった事を非常に後悔していた。
だが後悔ばかりしてはいられない。
あの怪奇現象が自身に降り掛からない補償は何処にも無いし、救助に来てもらって早く彼を助けて欲しい。
「…(財布に御守りそれと、
ーーあった携帯!)」
プルプル プルプル
『お電話サービスでーーーー
「……そんな」
Wi-Fiは繋がっているのに主警察に何度掛けても繋がらず、メールもLINEもダメ。
ならばと、彼女は窓を開けて怪我覚悟で飛び降りようとするが窓は開く気配がなく、放置してあった椅子を思いっきりぶつけてもうんともすんとも言わない。
あまりの希望の無さに座り込んでしまう。
彼女この廃墟に完全隔離されてしまっていた。
怒りっぽい悪霊さんは許せない Zホホ @admjgpt580777
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。怒りっぽい悪霊さんは許せないの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます