あなたとの空

@mameki_haru

第1話

白虹石という石を集めるのが私の仕事だった。暗闇の中で僅かに青白い光を放つ。それを毎日拾うのだ。

アークさんはそんな私のもとに突然現れた。

「外に出てみないか」

そう言って私を眩しい世界に連れ出した。ずっと真っ暗な場所で暮らしていた私には目が痛くなるほど、初めて見た景色はとても綺麗だった。

洞窟で私や私と同じ仕事をしていた子供の監視をする大人が追いかけてきたので、私たちは隠れて逃げた。そして王都という大きな大きな街まで来た。街でも私たちは避けられたり追いかけられたりした。私は明らかにボロボロだったし、アークは真っ黒な髪をしていた。アークは王様の子だったけれど、黒色を持って生まれたせいで捨てられたらしい。どうやら黒は悪い色なのだと。

「私は黒が好きだよ」

一番馴染み深いし、アークの髪色は他にない特別な色だから。自然とそう言葉に出た。アークは笑ってポツリと呟いた。君だったら受け入れてくれるかも、と。

「今夜外を散歩しよう」

危ないから夜中は出歩いていけないとうるさく言うアークは突然誘った。そして、こっそり街外れの森に入った。

アークは上の服を脱いで背中から大きな黒い翼を伸ばした。

綺麗

思わず声に出ると、アークは私を抱いて夜の空を飛んだ。

「俺を受け入れてくれてありがとう」

私も、見つけてくれてありがとう。それだけは中々喉から出なかったけれど。

何年か経ってアークは死んだ。アークは人間と羽人のハーフで身体が弱かったらしい。そして、外聞が悪いと王様に追い出されて洞窟まで来た。

黒い翼は目立つから青空を飛ぶことはなかったけど、私は夜の空を飛んだあの日が一等特別だった。ありがとう、アーク。見つけてくれて。連れ出してくれて。伝えられない言葉は風に運ばれ空に溶けていった。

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