第6話 不落のアジト

「私も下に行き、スワットと合流する」

スナイパーはスコープから目を離さず、無言で頷いた。


「全チームに告ぐ。遠距離支援は無くなった。これからスワットチームは

突入を開始する。全てのチームは回転式多銃身機関銃の口径は最大の物にしろ」

煙幕の中だが、我々は別々の方面から突入する。同士討ちは無いから安心して

敵を吹き飛ばせ! 以上」


「アルファ、ベータ、バレッドチームは突入を開始しろ」

突入してすぐに今度は連続して爆発音が響き、上から礫の石や何か分からないような物が降り注いだ。


「退け! 退け!!」

丁度先ほどまでいた場所辺りが吹き飛ばされ、煙幕の中であった為、視界を熱源センサーモードにしていた。彼女の目の前には、熱源モードでも分かる腕が落ちていた。


スナイパーチームに呼びかけようとしたが、無駄だと分かった。


「爆破班。片っ端から吹き飛ばしてやれ! この建物が消してやれ!」

「了解! 各自片っ端からC-4を取り付けていけ!」


「スワットチームは一時下がれ。プラスチック爆弾の爆破後に様子を見てから動く」


——————————

「兄貴。遠方に一人生き残りがいますが、腕も千切れて死ぬのは時間の問題でしょう」

「どけ。いいか? 引退まで生きていたいのなら、油断は一切禁物だ」

ガレッドはもう死にかけのスナイパーチームの最後の生き残りを、C-4の取り付けてある監視ドローンを、そのまま突っ込ませて終わらせた」


——————————

遠方で再び爆破音が鳴った。

サラは彼の言う通り、この辺りは予想よりも遥かに広い範囲に渡って

奴らのアジトなのだと理解した。

すでに8名の死者を出しているし、アジトを制圧する訓練も積んできた。

今更後には引けない。


彼女は隊長として命じた。

「爆破班、準備はできたのか?」

「こちら爆破班、いつでもいけます」

「吹き飛ばせ!」

「了解!!」


——————————

アジトの本拠が揺れるくらいの爆発音が鳴り響き、その本拠の姿を明らかにするほど

瓦礫の山を作った。隣のビルへ行く、隠していた渡橋も爆破され移動は困難なものとなった。

「全く、面倒な事をしてくれるぜ」

「兄貴。どうしますか?」


「たかがサツのスワット如きにやられるほど、堕ちちゃいねぇよ」

奴らが中に入ってきたらまずはここから応戦する。そして奴らが完全に中に

入ったら踊り場のセントリーガンを両方出せ。それで片付くはずだ」


——————————

サラは相手の戦い方を考えていた。

後方から徐々に我々の動きを狭めて、確実に全員を倒す気でいる。

普通は逃げ道を与えて、撤退させる奴らが多い中、コイツは全く違うタイプだ。

殺しを楽しんでいるように思えるほどだ。


元軍人か、我々のような特殊部隊に所属していたはずだ。

我々を逃がすつもりも無いようだが、それはこちらも同じだ。

ウィルの仇は必ず取る。


十分に騙せるほどの時間を与えたから、今度は我々が攻勢に出る番だ。

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