第5話 激化する交戦
ドンッという音がアジト内に響き渡った。音はひとつに
聞こえたが、ガレッドには振動から複数だと分かった。
「どこをやられた?」
アジトに設置してある監視カメラから、
管理室のモニターに隙無く映し出された。
「予想通りだ。問題ない」
問題のない理由は、南への隠し通路の壁は爆破されていなかった。
南の通路は幅が狭く、仮に爆破されたとしても管理室の壁である為、
破られることのないほど、幾重にも厚い合金で完全に囲んでいた。
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「爆破完了。これより三カ所から侵入型の囮のドローンを入れる。
囮突入から3秒後に四隅のセントリーガンを無力化する」
囮のキャタピラードローンがアジト内に入った瞬間、激しい銃弾が天井四隅から
止まる事無く撃たれ続けた。囮ドローンと言えど、長くは持たないとは分かっていた。その為3秒後に突入を開始する事にした。
しかし、ここで予想外の事態が起きた。煙幕で何も見えない室内に入った爆破ドローンが、次々と撃ち落とされた。手動モードに切り替えたか、対象を変えたかのどちらかであった。
隊長のサラは、全ての爆破ドローンの突入を即座に叫ぶように命令した。
手動モードで撃墜していた為、咄嗟に自動モードに切り替えたが、1秒で生死の決まる世界ではそれは無意味でしか無かった。
四隅のセントリーガンが全て潰され、残ったドローンは
た。サラはこの好機を見逃さず、すぐに行動を起こした。
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「おい。煙幕を広域範囲に出せ。作戦を少し変える、まずは後方支援のスナイパーどもを
「わかりました」
手下は同時に起動後爆破する設定をし、兄貴分であるガレッドを座席から見上げた。
「できたか?」
「はい。いつでもいけます」
「よし、吹き飛ばせ」
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サラは敵の抵抗が無いことを不信に思っていた。
「爆破班。スナイパーチームが死角になるように、数カ所の爆破を命ずる」
「爆破班。了解。場所を特定する為、1分ほど下さい」
「こちらゼロ1。了解した。場所が特定できたら連絡を」
遠方で爆破音が突然響き渡ってきた。
「こちらゼロ1! 総員赤外線センサーに切り替えて防戦態勢を整えて待機せよ」
音の響きから後方支援のスナイパーチームだと分かった。
サラは即座に無線機で連絡をした。
「後方支援のスナイパーチーム! 応答せよ!」
「……こちら後方支援のスナイパー……」
「こちらゼロ1! 何が起きた?!」
「この辺りも奴らの縄張りのようです……礫の石が敷き詰められた中から、突然ドローンが現れて……私は転がって回避しましたが、腕が吹き飛ばされ、役にたてそうもありません。すいません……」
「すぐに救急ヘリを送る。止血して動かずにいろ」
「いや、この辺りは全て奴らの支配地です。止血して待機します……救急隊を送るのは危険すぎます。他の仲間の場所だけは確認しましたが、生存者はいません。戦いが終わるまで止血して動かずにいます」
「ゼロ1,了解。出来るだけ早く終わらせる……すまない。以上」
サラは彼が死を選んだ事を知りつつも、辛い気持ちを押し殺し、
心の中で前だけを見た。脳裏にウィルの顏が浮かんだが、彼女は前だけを見た。
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