第3話 スワット精鋭部隊VS一角を成す麻薬ディーラー

サラはいつもより早く目覚めた。携帯のアラームを止め、

背景に映ったウィルとの写真を見つめた。


そして、携帯を机の上に置くと、

冷蔵庫からミルクだけを出して、一杯だけ飲んだ。


ついにこの日が来た。一昨日、爆破班も加わる事となった。


突入する30名のスワット部隊に、スナイパーチーム8名、爆破班5名、

そして逃げた場合に備えて、各方面にスワットを五名ずつ配置した。


サラは必ず奴を殺す、と心で誓った。


————————————


「ガレッド。ベリーズからもしもの場合に備えて、俺たちを逃がす

ルートの確認をしたいらしい。お前に連絡がきたら調整してくれ」


「わかりました。ボスは念のため、そろそろお部屋にお入りください」

「奴らもう動き出したのか?」


「はい、5名ずつが移動を開始しました。退路を断つ気のようです。

高性能ドローンで動きだけは監視中ですので、ご安心ください」


ガレッドの携帯がブルった。


「ジャイルだ」


「おい。もう動き出してんじゃねぇか。どういうことだ?」


「今回の作戦は極秘扱いで、今、ようやく分かっただけだ。

どうやらお前んとこの下っぱのバリルとか言う奴が吐いたらしい」

「チッ、使えねぇ奴だな。まあいい、奴をころすのは後にする。

それよりもサツどもの早く情報をよこせ」


「今回は相当ヤバいぞ。総勢58名の精鋭揃いだ。退路も完全に断つ気で

スワットが五名ずつと、警官隊も出るようだ」


「ここに来る連中だけ教えろ」


「スワット30名、スナイパー8名、爆破班5名だ」


「気合入ってんな。お前は逃走用に大型トラックを二台用意しとけ。

てめぇも道連れだってことを忘れるんじゃねぇぜ」

そう一言だけ放つと、ガレッドは携帯を切った。


すぐにまた携帯がブルッと来る前に取った。


「私だ」


「ベリーズか。話はボスから聞いた。バリルが裏切ってたようだな」


「そのようだ。証人保護されてたが情報屋もバリルも全員始末した。

それより退路の確保の件で連絡した」


「今回はあちらさん、随分と気合いが入ってんな。逃走経路は

お前さんの十八番おはこだが、大丈夫か?」


「いつものようにはいかないと思う。ガレッド、お前も気づいてるはずだ。

私は外から援護する。最悪の場合、警察署を爆破する手配はもう済ませた。

今回は総力戦になるぞ」


「こっちは任せろ。お前は何とか逃走経路を確保してくれ」


「分かってる。日本から今年、地上から三メートル程度だが、

浮くバイクが販売された。何かの時の為に、10台ほど購入して、

隣のビルに五台置いてある。警官隊が道を塞いでも、それなら問題なく通過できる。

スワットのトラックも置いてあるが、今回は使えない。

スワット部隊全員が出動してきてる。こっちも人数を集めて、逃げにくいルートを確保する」


「ああ、そのほうがいい。ボスさえ逃がせば、奴らも手出ししにくい場所がいい」


「また連絡する」ベリーズが今までにない緊張感を出していたことから、

すぐに逃げるべきかとガレッドは思って、偵察機のドローンで確認しようとした。


このアジトの上空を映し出そうとしたら、いきなり画面が消えた。

日差しが強く、スナイパーに撃ち落とされたことが分かった。


つまりはすでに包囲に近い状況だと理解した。

「おい! 金はもう流したか?」

「はい! 終わりました」


「ならすぐに武装しろ! 重装備武装して、

二階の中央室にから、お前らは一階に下りて、

一階から入ってくる奴らは皆殺しにしろ」


「はい!」

「いいか? 奴らも相当武装してきているはずだ。貫通弾を使え。

全部使ってもいい、とにかく侵入を許すな!」


————————————


「サラ隊長。配置完了しました」

「分かった。予定通り動くが、予定通りにはいかないだろうから、

臨機応変に対処して。ドローンの対処も忘れずに用心するよう

スナイパーチームに伝えて」


「各班、配置完了したか?」

「アルファチームOK。ベータチームOK。バレッドチームOK。ゼロ1チームOK

スワット部隊配置完了」

「こちらスナイパーチーム。予定通り、海側の北西の角以外の全ての屋上指定場所に配置完了」

「こちら爆破班。爆破ドローン機で、建物の角に配置されているであろう、

自動センサータイプのセントリーガンを無力化する。無力化後の室内地下からも上がるであろう、セントリーガンの無力化はスナイパーチームに引き継ぎ、爆破班は建物の要所を潰していく」


「ゼロ1チーム、全てのチームの確認完了。これよりこの町一番の悪党を駆除する、では作戦を開始する。以上」


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