第3話

学校の帰りに、千夏を捜す勇気。


(どこに行ったんだろうな?)

外をぼんやりと、眺める千夏を見付けた。

どこか、悲しげに見えた。


「千夏!」


「勇気。」


「お~勇気って、呼ぶ様になったか~。」


「だって、何時までも、山崎では

可笑しいでしょう?」


「そうだな!帰ろう!」


「うん!キスする?」


「いいよ!」

唇を重ねる。

帰りは、何時もと変わり無い、千夏だった。

そんな、毎日を過ごしていた。


「キスする?」

以外は、至って普通の、可愛いい千夏だった。

勇気の中では、今はその


「キスする?」

も、可愛いく思える。


そんな、ある日


「キャー」

千夏の悲鳴が、聞こえた。

慌てて、廊下に出る勇気。

すると、千夏が男子生徒に、腕を掴まれて

いた。


「何してるんだよ!」


「いや、井上さんが、ハンカチを落としたから、声を掛けたんだけど、気が付かなかった

みたいで、それで腕を掴んだら、あの

悲鳴だよ!本当に、それだけだよ!」

千夏は、何かに怯えている。


「千夏、大丈夫か?本当なのか?」

首肯く、千夏。


「悪かったな、ありがとう!」


(腕を掴まれただけで、あの怯え方は

どうしたんだ?)

千夏が落ち着く迄、勇気が側に居る事に

した。

少しすると、落ち着いて来た。


「大丈夫?千夏。」


「うん、急だったからビックリして

ごめんね、ありがとう。」


「じゃあ、教室に戻るか?」


「うん。」

後は、変わらず過ごす千夏。

放課後


「勇気、私、今日は園子と帰るから!」


「そうか!分かったよ!」

さほど、気にせず帰る勇気。

園子の、クラスに行く千夏。


「園子、今日は一緒に、帰ろう!」


「いいよ、ちょっと待っててね!」


「うん。」


「お待たせ~山崎は?」


「今日は園子と帰るって言って、帰って

貰った!」


「何が、有った?」

千夏は、今日のハンカチの話をした。


「まだ、やっぱり無理か~男子と話が

出来る様になって、山崎の事が好きって

言って、付き合い出したから、もう

大丈夫なのかなって、安心してたんだけど

………」


「私ね、勇気に、キスは出来るの!

勇気と、キスしてる間だけ、自分が

浄化される様な、気がして、でも今日

みたいに、腕を掴まれたら、同じ様に

なるのかと思うと、不安で、そんな態度

取られたら、彼氏だったら嫌だよね?」


「う~ん、傷つくよね!」


「どうしよう?」


「深刻だよね!山崎とは、少しずつ

距離を縮めて、行くしか無いよね!

好きなんでしょう?」


「うん、好きその気持ちは、本当だよ!」


「じゃあ、少しずつだね、焦っちゃ

駄目だよ!」


「うん、園子ありがとう!」

家に帰る千夏。


「ただいま。」


「おかえり。」

千夏は、母とも、ほとんど話をしない。

ご飯の時だけ、降りて来て、食べると

直ぐに部屋に、入る。

毎日こんな、生活だった。

母も、千夏の顔色を、伺っている。

千夏の、心の闇を知っているのは

千夏の母と、園子だけだった。

その頃、家で勇気は


(今日の千夏の怯え方は、異常だったな?

キスが出来るのに、どうして腕を掴まれた

位で、でも、そう言えば、手を繋いだり

とかは全然しないな?何だろう?)

と、悩んでいた。

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