第15話
「すいやせんお嬢、少しばかりうとうととしてしまいました…」
そう言いながら2メートルはありそうな巨体を申し訳無そうに縮こませながら頭を下げるサブと呼ばれる男。今にでも破れそうなピチピチになったスーツにキレイに剃られているスキンヘッドの姿は純粋に怖い。
「まったく…何回目よ」
そんな巨体に対して躊躇いもなく頭をペチペチしながら文句を言う佐奈ちゃん。俺は君が一番怖いよ。
しばらく頭を叩き終わると頭を上げるサブ。そのまま目線を俺に移しながら、いや睨みながら一言。
「・・・ところでお嬢。そちらの男性は誰でしょうか」
あ、死んだわこれ。
「ちょっとサブ…。私のお客さんに対してなにその態度」
そんなビビり散らす俺を横目にドスを効かした声でサブを叱責する佐奈ちゃん。
「すいやせんお嬢。しかし、男を連れてくるなんて初めてこと。警戒するのは当たり前です。・・・それにオヤジさんに知られたら」
「サブ! パパは関係ないでしょ」
「そ、そうですが・・・」
「いい! パパには黙ってなさいよ!」
「あ、お嬢!」
そう言いながら俺の手を引きながら玄関へと向かう。
「すいません、お兄さん。ちょっとサブは心配性で」
「お、おおう。そ、そうなんだ」
え、これそういう問題? えーーと。親父さんに知られたらなに? え、殺される感じ? 拷問されてポイされる感じ? というか佐奈ちゃんはお嬢確定なの?
ギャルでおっぱいデカくてオタクでお嬢でおっぱいデカいって、どんなキャラしてるんだよ。ゴメンだけどもう帰らせてくれないかな。
なんて言えることもできずに今からでもダッシュすれば逃げれるのではないかと、引かれながらも後ろを見るが、既に門は閉められている。
・・・ジ・エンドってやつだ。
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「ここが私の部屋です」
「あ、ありがとうございます」
ここに来るまでに何人もの屈強な男たちに頭を下げられながらようやくたどり着いた佐奈ちゃんの部屋。あまりに遠すぎて遊園地の敷地内にでも住んでいるのかと思うほどに広大な家。一体いくらを使えばこんな家に住めるのだろうか。・・・まぁ何で稼いでいるかは気にしないでおこう。うん。
ただ、そんな家の中でも佐奈ちゃんの部屋はいかにも女の子といった部屋である。ピンクを基調としたレイアウトにアニメ等のグッズが置かれており、机の上には友達との写真か飾られている。
「ふふっ、なんで敬語なんですかお兄さん。私は冬美ちゃんと同級生ですよ」
「ははっ。そ、そうだよねー。冬美と同級生だもんなー」
冬美よ、俺は一生お前のことは赦さないだろう。今度はデコピンじゃ済まないからな。・・・まぁ、帰ることが出来たらだけど。
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