第8話
翌日、俺の気分は憂鬱だ。
昨日冬美に奢った昼飯は以外に高かったし、そのおかげでガチャに課金もできない。更に今日は天気も悪く月見里家の宿命である偏頭痛の発症。極めつけはよく知らない冬美の同級生であるメンクイの佐奈なる人物と何故かデートをしなくてはならない。
これを憂鬱といわずして何が憂鬱だろうか。
今からでもブッチして家に引きこもってやろうか。幸い冬美は連休で初めて友達と遊びに行くと言って既に家にはいない。適当に理由をつければ……。
ピロリン♪
等と考えているとスマホが鳴る。
差出人は冬美だ。
送られてきたメールを早速見ると。
『ブッチしたらお兄ちゃんがこの間の大会をずる休みしたの元宮先生にいうから』
「……行くか」
おそらくこの事を師匠に知られたら半殺しでは済まないだろう。
冬美には『行かせていただきます』とだけ返信しておく。
しかしながら、やはり気分は乗らない。
そもそもこのデートは冬美がなんかおもしろそうだから。といつの間にかセッティングされたものであり、更にいうと俺はギャルなるものが苦手だ。というより嫌いである。
中学の時に一番からかってきたのもギャルである
正直に言うともうギャルとは関わりたくない!
となると、今日やれることは一つ。
嫌うのではなく嫌われる。
腐っても冬美の同級生。
確かにここでブッチでもしたら、セッティングした冬美が学校での地位に揺らぎが生じるかもしれない。
『ギャルは口が軽く、噂が早い』
これは俺が中学の時に学んだ金言。俺の二の舞いを妹に味合わせる訳にはいかない。
冬美の顔を立てつつ、今後関わりがなくなるようギャルに嫌われる。
もう俺に残されている道はこれしかない。
集合時間は11時半に〇〇駅。
月見里家の最寄り駅から3駅離れた冬美が通う高校の最寄り駅とのことだ。
話によると
こういう自分本位な感じもいかにもギャルらしい(偏見)。
俺の最寄り駅に来いとまでは言わないが、せめて電車に乗れ。なんで俺だけ通学するわけでもないのに電車に揺られねばならんのだ。
……とりあえず遅刻して行こう。
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