第6話

自宅を出て駅前までは徒歩で30分程かかる。

いつもは自転車で行くのでそこまで時間はかからないが、休日だし2人という事もあり徒歩で行く事となった。隣を歩く妹の冬美は何故か腕を組みたがるので、仕方なく腕を犠牲にしている事もあり、今日はいつもより遅くなりそうだ。


ちなみに冬美の服装はというとシンプルなパーカー。


そう、月見里冬美はパーカー女子なのである。

家を出る時は基本オーバーサイズのパーカーに、細身のパンツ。


本人曰く、楽だから。とのこと。


あれだけ俺に言っておきながら、本人も実はそこまで興味がない。

今日も今日とて水色のパーカーに細身のパンツ。

シンプルな服装だが、冬美のスタイル、顔立ちの良さも相まって妹のことながら抜群に似合っている。

……決して口には出さないが。


そんな状態で15分ほど歩いていたがやはり限界は来る。

腕がいてぇ。


「……なぁ、やっぱ歩きにくいだろ」

「私は別にそんな事ないけど」

「いや、身長差を考えろ。俺の腕がお前に引っ張られて痛いし歩きにくいんだって」


冬美の身長は160センチを少し越した程と高校生とか関係なく女性の中でも少し高い方。しかし、俺も身長は181センチとおそらく男性の中でも高い方だと思われる。

そのため、冬美が女性の中でも高いとはいえ、20センチの差がある中での腕組がシンプルにバランスが悪い。


「夏己が背高いのが悪いんでしょ。我慢してよ」

「俺のせいなのか……」


あとなぜか冬美は外に出ると俺のことを名前で呼ぶ。

理由はお兄ちゃんと呼ぶのが恥ずかしいらしい。

家では言っているだから別に恥ずかしがることはないと思うのだが、誰かに聞かれるのが恥ずかしい。とかそんな理由だろうか。


「それになんか腕細くなった?」

「ん? ……まぁ、最近道場に行ってないしな。筋力も落ちたんだろ」

「ゲームばっかしてるからでしょ、元宮もとみや先生が知ったら悲しむよ」

「ゲームは辞められないね。なぜなら俺の生きる糧なのだから!!」

「……バカじゃん」


そう呟くと腕を強く握る冬美だった。

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