踊るかつお節の悲哀

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 あちちちっ。


 あちっ。


 あつくて火傷しちまうよ。


 はたからみれば、楽しそう。


 でも実際は、地獄の場所さ。


 熱せられたお好み焼き。


 その上なんて、楽しくない。


 なにも一切楽しくない。


 あちちちちっ。


 あちちっ。


 誰かこの踊りをとめてくれよ。


 楽しくないのに、なんで踊らなくちゃならないんだ。


 楽しそうだね、なんて顔で覗き込まないでくれよ。


 俺達にとっては苦痛なのさ。


 こんなひどい思いをするくらいなら、早くたべて俺達を楽にしておくれよ。


 踊るかつお節は、見世物じゃないのさ。


 見世物にしているわけじゃないのさ。


 ただ苦しくて、辛い思いをしているだけなのさ。


 どうかその目にうつした光景通りだと、錯覚しないでおくれよ。


 楽しそうな踊りを踊っている連中が楽しい、なんて決めつけないでくれよ。


 あちちちちっ。


 あちちっ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

踊るかつお節の悲哀 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ