第3.5話 詠み人知らず

『本国における予言者の消失及び高位能力者の消失に関して。』


事の発端は、事件より二ヶ月前となる。


場所は、第357研究所。


この施設は、一つの機能に特化した研究所であり、また、能力者、それも異能者と判断される者の収監・教育・研究を行い、有事の際には基地としても機能する、特殊軍事施設である。


その特異性から、度々収監された異能者より画期的な技術の供与、または重要情報を得ることがある。


今回もその一つではあるが、重要度の高い、通称・予言書、に関するものであったため、即時の行動を選択した。


すぐさま、特別チームを発足し、研究所機能のみならず、緊急時対応として基地機能の行使を持って追跡を開始。


同時に軍本部への報告、追認を得た。

※パートナー協定に基づく同盟国への情報共有はこの段階ではない。


程なく、予言書と思われるモノを領海内を漂う国籍不明船内にて発見。

チームの派遣を行うが、不測の事態により、チームは消滅。

監視チームの報告によれば、陰陽属性による突発的な能力の行使を確認したとの事であった。


この事態を重く受け止め、第357所属高位能力者・柳圓の出動を決定。

同氏の推薦により、無所属異能能力者・六道総司を国籍不明船への派遣を追加決定。


推薦理由は別紙参照。


六道総司の先導により、柳圓は予言書の確保に一時的に成功するが、直ぐに消失。

それと時を同じくして予言書も消失した模様。


同道していた六道総司を、緊急確保。


だが、この六道総司も357での取り調べの最中に消失。


両名の消失、予言書の消失を持って、本事案を『特異災害』認定を申請。

及び、世界レベルの危険度を認識し、複数名の消失及び未確認預言書の出現を近隣各国及び、各種専門団体への通告を要請する。


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