第31話 打ち解ける。

とうもろこしを2人で頬張って、麦茶を飲んで、お母さんが持って来てくれたピッチャーから麦茶のおかわりを注いで、おしゃべりして、友達ってこんなにいいものなんだな、とじわりと感動していると、


「そうそう、モモちゃんのギターが、久しぶりに聞きたいな!」

「あ、そうだったね!」

ギターを抱えて、思ったことは、

(こんなに1日の間にギターを持たない時間があったなんて、初めてだな・・・)

ということだった。

私が下宿生活をする前に、日本で流行っていた曲を弾いて、歌った。

どう思われているかな、とか気にせずに、鷹揚に演奏できることが、私の強みだ。弾き語りを終えると、

「わー!すごい!あの、モモちゃんに私なんかが言うのは失礼だと思うんだけど、モモちゃん、上手くなったね!技術とかは分からないけど、ずっと伝わるようになった!気持ちとかがかな。」

私は、驚いた。技術のことしか考えていなかった私が、心や気持ちという側面で褒められるとは思っていなかった。多分、ノイキャンを結成したり、モニカさんやキッズにお世話になったり、そういう人との関わりの中で表現力が身に付いていたのなら。それなら、自分から進んで大変な思いをしたかった訳ではなかったけれど、大変な思いをした甲斐があったなと思った。


「ありがとう。」


ところで、私はずっと気になっていた質問を由和ちゃんにした。

「由和ちゃんは、勉強を頑張ってるみたいだけど、どうして、芸能高校の桃太高校に入ったの?」

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