第29話 散歩

「腹減り、腹減り、腹減った〜♪」

「何それ!」

「私が最近作った歌!」

「モモちゃん、ギター弾くだけじゃなくて、歌も歌うんだ!」

「えへへ。」


2人でぶらぶら歩いている。久しぶりの私の街は、暖かくて、私を包み込んでくれる。

「ずっとこんな時が続けばいいのにね。」

変なことを言ってしまったかな、と思ったが、由和ちゃんは、

「私もそう思う。」

と、言った。私たち、青春してるみたいだ。


「とりあえず、私の家でスケジュール調整しよ。それで、夏休みの宿題、一緒に頑張ろう!」

「オッケー!」

「そういえば、由和ちゃん、私以外の友達と遊ばなくていいの?」

「えっと・・・。」

「あ、変なこと聞いちゃった?」

「私、この高校入って、モモちゃんが初めての友達なんだ・・・。」

「えっ!私も由和ちゃんが初めてだよ!」

「私、桃太高校には珍しく真面目キャラだから、みんなからちょっと引かれちゃってて。」

多分、一目置かれているだけだと思うが、うまく伝えられない気がして、言えなかった。

「じゃあ、お互い仲良くやろう!」

「うん!」

友達がいるって、楽しいんだな。ユメは、友達というより仕事仲間みたいな感じだったから、趣味も価値観も違う友達を得て、私はとても嬉しい気持ちになった。

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