第28話 友達って?

2人で結構真面目に、借りる本を探した。由和ちゃんは、昔の文豪の文学を借りていた。

「由和ちゃん、難しそうな本を・・・!」

「文学は、案外、親しみやすいものも多いよ。ちょっと恥ずかしくなるようなものも多いし、意外と面白いよ!」

「へえ〜。」

「モモちゃんは、何にしたの?」

「じゃ〜ん。」

「おお!新書だね!」

私が借りたのは、高校生向けの新書で、「音楽業界へ進みたい10代の君へ」という本だ。ギターを弾くことが好きだけど、ライブなどのスタッフにも興味がある。幅広く可能性を探っていきたいと思っている。


「じゃあ、とりあえず、今日は帰るか!」

「モモちゃん、それなんだけど・・・。」

「?」

「帰りに、カフェ寄って行かない?」

「・・・行きたい!でも、うち、お小遣いくれないんだよね。」

「そっかあ・・・。」

「だからさ、由和ちゃん、お散歩しながら帰らない?」

「モモちゃん、ナイスアイデア!あと、モモちゃんのギターも聞きたいな!」

「あ、じゃあ、うち来る?」

「家に上がるのは大丈夫なの?」

「あ〜、私、友達を家に呼んだこと、小学校以来ないなあ。でも、小学校の時によかったんだから、大丈夫でしょ!」

私は、ギターばかり弾いていて、友達を作る必要がなかった。でも・・・

「由和ちゃんは、私の友達だよね!」

「え?ずいぶん前から、友達だと思ってたけど。みんなもそう思ってるよ、きっと!」

私は、もしかして、すごい冷たいやつだったかも・・・反省した。私がちゃんと反省したのは、本当に久しぶりのことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る