第15話 フリーマーケット
週末は、魔法学校もお休みだ。
そこで、朝からリタちゃんキラくんとトランクに商品を詰めて、フリーマーケットに向かった。
この前、ギターを弾いていて取材を受けたときに、フリーマーケットは、市場の奥の公園でやっていることが判明した。
売るものは、人間界から持ってきた私の洋服。早速、若者のグループが品定めに来た。あっという間に売れてしまった。
「ああ、こんなにすぐに売れるんだったら、もっと持ってくればよかったなあ〜。」
手数料を支払った残りのお金は、結構あった。リタちゃんキラくんにお駄賃を渡して、残りはモニカさんに渡すことにした。お仕事をした感じがある。
モニカさんにお金を渡すと、モニカさんは、このお金で、みんなでお昼を食べましょうと提案した。やったあ、今日はご馳走だ!
生クリームにパンケーキ?お寿司?パスタ?どんなものだろう。
そして私は気付く。私はここの世界に来てから、ごはんのことしか考えていない。人間界にいた時は、ごはんが食べられるのは当たり前で、自動的に出てくるものだったけど、今はご飯を食べることが切実だ。大変だけど、前よりも「生きている」感じがする。魔法使いの国は、幻想的で、なんでも魔法でなんとかなるけど、私は、もっと身を切って生きていく人間界の生き物なのだ。だから、フリーマーケットに参加して、やっぱり、実体を伴う生き方はいいなあと思った。魔法使いの国も、いいところはたくさんあるけどね。モニカさんは、私たちを日本食のレストランに連れて行ってくれた。モニカさんがリタちゃんキラくんに、モモの国の食べ物だよ、と教えている。私は耳がいいのが自慢なので、すでにちょっとずつ魔法使いの国の言語を理解し始めていた。
リタちゃんは鯖味噌定食、キラくんがカツ丼、モニカさんは海鮮丼を頼んだ。
私は何にしようかな・・・やっぱり、私も、海鮮丼!
日本の人が店員だったので私が日本語で注文すると、
「おまけでーす。」
と、みんなにひとつずつ、わらび餅をつけてくれた。
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