第14話 屋台とギター

子供たちのギター教室は、週に一回ほど。それ以外は空き時間だ。ギターを背負って、噴水前へと行く。モニカさんはお昼を持たせてくれると言ってくれたが、自分でお昼ご飯ぐらいはなんとかすると、辞退した。たまにコインをもらえる日があり、そういう時は屋台で色々食べた(レストランやカフェは高いのだ)。

初めて屋台で食べたお肉は、思い出のごはんとなって、よく食べた。他にも炭酸の甘いスープが美味しかった。炭酸のスープなんて、初めてだったけれど、フルーツポンチのようなものとも言える。サラダが好きなので、サラダラップもよく食べた。野菜をお肉の皮で包んだものだ。


噴水前に通い始めて2週間ほど経った頃、カメラを持ったおじさんと通訳の女性が近づいて来た。通訳の女性が、私に声をかけた。

「こんにちは。ここの国のテレビ局です。今、人間界からギター弾きの少女が来たと、町で話題になっています。ニュースで取り上げてもいいでしょうか。」

「あの、それはいいんですけど・・・私、そんなにギター上手くないですよ!」

「それはお気になさらずに。それでは、カメラ回しまーす!」

緊張していたが、ふと力を緩めて、ギターを弾いてみた。そして、モニカさんのアドバイスで作ってみた、弾き語りに挑戦した。「お腹空いた〜」という曲だ。

「腹減り、腹減り、腹減った〜♪」と歌う。通訳の女性が吹き出した。

そういえば、誰も歌詞を聞いても笑わなかったのは、言葉の意味が分からなかったからだったのか。私は大真面目に作っていたから、まさか笑われるとは思わなかった。あ、そういえば。

「私、人間界から洋服をたくさん持って来たんです。私たちの世界には、『フリーマーケット』というものがあるんですが、ここの世界にもありますか?売ってお金にしたくて。」

「ありますよ。私たちの世界では杖でなんでも出すことができるけど、杖で出したものは実体を持たないの。だから、フリーマーケットの商品は物として残るから、重宝されています。」

「どこでやっているかとか、詳しく教えてください!」

取材を受けたつもりが、取材をしてしまった。

そして、数日後、モニカさんファミリーと、仲良くテレビで取材の様子を見ることができた。モニカさんも歌詞の意味が分かり、笑っていた。


よし、週末は、リタちゃんキラくんとフリーマーケットに参戦だ。

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