第10話 翌朝
私は水を飲むと、そうっとモニカさんの家に戻った。そして、ベッドに入り、深い眠りについた。
目が覚めて部屋から一階に降りると、まだ誰も起きていなかった。
「リバー、朝ごはんを作ってみたいんだけど、魔法使いの国って、料理をどうしているの?」
「ああ、杖で料理しちゃうから、モモの出る幕はないさ。」
「そうなんだ。でも、昨日もらったコインが少し残ってるから、市場に材料をちょっとなら買いに行けるな。」
「じゃあ、行ってみようか。」
おそらく、日本時間では朝の5時頃。太陽が昇り始めている。
ささっと着替えて、洋服のポケットにリバーを入れて、私はすぐ近くの市場に向かった。
市場は盛況で、例えるならアメ横みたいな感じ。お洒落な町だと思っていたけど、ちょっと裏に入ると、こんなところもあるのね。
お目当ての、固そうなパンのようなものを発見。大きな塊の4分の1を、購入。コインギリギリでこれだけ買えた。もう、残金はない。
もう買えないけど、コーヒーも飲みたかったな!
ここの世界には、コーヒーはないのかな。
「リバー、コーヒーって分かる?」
「分かるよ。」
「ここにはコーヒーってあるの?」
「あるよ。人間界から輸入してるからね。」
「え!そんな話、聞いたことないよ。」
「世の中には、一般に知られていない話がいっぱいあるのさ。」
「ふうん・・・。」
家に戻ると、もうみんなは起きて、朝食を準備していた。
「モニカさん!もしよかったら、このパン(仮)どうぞ!」
モニカさんは、笑顔で私にハグをしてくれた。
そして杖でパンを4等分にして、真ん中をくり抜いて、シチューのようなものを入れたお洒落な朝食が出来上がった。
「わーい。いただきまーす!」
パン(仮)のくり抜いたかけらでシチューをすくいながら、みんなで食べる朝食は格別だった。パン(仮)は酸っぱくて、クラムチャウダーのような感じだった。
リタちゃんキラくんは、学校に向かった。モニカさんは、普段は何をしているのだろう。じーっとモニカさんを見ていたら、モニカさんが微笑んで、隣の部屋に案内してくれた。ミシンやアイロン、糸や針、布でいっぱいの部屋だった。
もしかして、モニカさんって・・・手芸家?
モニカさんは、本を見せてくれた。写真には、可愛い作品と笑顔のモニカさんが映っている。やっぱり!
「私、お皿洗いますから!モニカさん、お部屋に入ってて大丈夫ですよ!」
あ・・・そうだった。モニカさんは、部屋の中からえーいっと杖をひと振り。あっという間にお皿がピカピカになった。
モニカさんは、ここにいてもいいわよ、と、身振りで示した。
そうだ、モニカさんに聞いてもらおう。
「ちょっと待っててください。すぐ、戻ります!」
私はジェスチャーで伝えて(伝わったかどうかは分からない)、慌てて2階に上がった。
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