第9話 お目付役
夕食を終えると、モニカさんは私に杖を向けて、
「メクル!」と言った。
全身がピカピカになって、洋服もパジャマのような黒いワンピースになった。
私の憧れていた、魔女のワンピースだ!魔法使いの国には、湯船はないみたい。
ちょっとホームシックになりながら、早めにベッドに入った。
私は、今日は寝てばかり。でも、実はおうちにいた時から、結構寝てばかりいた。人って、そう簡単には変わらないな。それに、急な環境の変化に疲れてしまったんだもの。
私は浅い眠りで、夢を見ているようだった。昔、クリスマスにアニメのキャラクターのモンスターが欲しいとサンタさんにお願いした。モンスターをランドセルにひょこっと入れて小学校に行く自分の姿を想像すると、楽しい気持ちだった。クリスマスにサンタさんがくれたものは、モンスターのキーホルダーだった。
私がモンスターをランドセルにつけて小学校に向かうと、友達が、
「モモちゃん、可愛いキーホルダーもらったんだね!」
と、キラキラした目で言った。私は、何も言えなかった。
夜中に、目を覚ました。喉がかわいた。でも、勝手に水を飲む度胸もなく、ごろんと寝返りを打った。
窓を眺めていると、手のひらくらいのトカゲが、窓に張り付いていた。
ふと指を窓越しにトカゲに当ててみると、声がした。
「モモ。思ったより頑張ってるね。すぐに音を上げて人間界に帰りたがると思っていたよ。」
・・・もしかして、トカゲの声?
「あなたは、一体・・・?」
「ワタクシは、トカゲのリバー。モモのお目付役だ。」
「ということは、誰かに派遣されて来たのね。だから人間界の言葉も話せる、と・・・。リバー・・・私、喉が乾いてしまったんだけど。」
「それなら、少し外に出て来てはいかがかな。」
2階から、みんなを起こさないようにそうっと外に出ると、リバーが待っていてくれた。
「ここは治安も環境もいいから、夜中に散歩している人もたまにいるんだ。
それで、あそこの噴水の水は、飲める水だから、飲むといいよ。」
わーーーーい!!!
私はごくごくと水を飲んだ。美味しい。美味しい!!!
「リバー、ありがとう!これから、よろしくね!」
「まあまあ、落ち着いて。」
リバーはそう言いながら、尻尾をふった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます