第7話 披露
私がギターを弾き始めると、2人はじっと聞いてくれた。
弾き終わると、2人は笑顔で拍手をした。いつの間にか、私の周りには人が集まっていた。何やら話している。この顔見ないな、とか、話しているのだろう。
せっかく人が集まってくれたので、私は3曲ほど披露した。
今日は、ギターがよく手に馴染む気がする。なかなか上手く演奏できたんじゃないでしょうか。
すると、聞いていた人たちが、硬貨を私に恵んでくれた。
「ありがとうございます!」
どうしよう、嬉しいぞ。自分の力でお金をいただいたのは、今日が初めてだった。キラくんが、私のギターを触りたがったので、貸してあげた。
ジャーン、ジャーン、と、ギターを鳴らすキラくん。ギターって、楽しいよね。
この辺で終わりにしようと思い、おじぎをしてギターを片付け始めると、人々も三三五五に帰って行った。みんなありがとう!
ということは、だ。私は先ほどの屋台に再び行った。
指を差し、謎のお肉のようなものを要求。
お金はほとんどなくなってしまったけれど、お肉のようなものを手に入れることができた。ローストされていて、香ばしい。骨はついていない。
頬張ると、あまりの美味しさに、涙が出てきた。
そうか、私、ずっと、心細かったんだ。
お肉(仮)を頬張りながら泣いていると、ずっと私についてきていたリタちゃんキラくんが、心配そうに私を見ていた。
「私、泊まる家がないんだ・・・」
なんとなく状況を察知した2人は、ついてくるように手招きし、私の少し前を歩き始めた。
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