第44話 解放

 指輪が落ち飛び散った血が消えていく。指輪を拾い指に入れてみても何も変わらない。普通に指輪を取ることが出来る。

 扉が開いたので中に入ることにした。入ると透明な自動ドアがあった。解除するためにはここでサヨナラするしかないみたいだ。サヨナラして進む。そのときには権限を失っていた。

 見ることができなければ可憐さんも呼ぶことは出来ない。指輪から始まったのにもう何もできなくなってしまうのだろうか。そう思いながら歩く。少し複雑だけど迷う要素なんてない。数回曲がり導かれるように大きな透明なドアのところまでやって来た。そこから何か青い物が見える。自動でドアが開いたので見えた物のところまでやって来た。


 冷たいただの氷の中にミリアが入っている。それ以外は何もない。触っているけど全く溶けそうにはない。指輪もなければ可憐さんもいない。どうすればいいのだろう。この部屋にはヒントはなさそうだ。何もないのだから。これまでの部屋にヒントがあるのかもしれないけど戻ったら二度とここには入れない気がする。


 しばらく悩んでいると指から血が流れ出した。さっきまで止まっていたのに...はっと思い血を氷にかけていく。ゆっくりと氷は溶け始める。不思議と水は残らずゆっくりと溶けていく。


 ミリアさんが倒れている。氷が解けきったのが理由だろう。


 ゆっくりと目を開けこちらを見る。

「君が私を呼んだのかい」

「はい」

「久しぶりの世界だ。魔力があるだけ暴れたいがこちらの世界では魔力がほとんどないので仕方がない。しかし、話しには聞いていたけど君が私の家系の者か適性はさそうだがまあそれ以外は十分じゃないか」

 話しがついて行けない。


「自己紹介がまだだったね。私は、ミリア。きみのご先祖さ」

「あなたがミリア」

「そう、本物ね。このたびは少しばかり迷惑をかけて申し訳ない。だけど私が来たからにはもう大丈夫さ何も心配することはない」

「それはうれしいです」

「しかし、久しぶりのこちらの世界だ少しばかり見せてくれないかい。私としてもこちらの世界には思い入れがあってね」


 そうして、地上に出た。話しながら。この世界には何でこんな物があるのかについて。


 彼女の言葉をまとめると。自分の脳の処理量に限界を感じていてそれを補うために作ったみたいだ。彼女が住んでいる世界では魔法が使えるみたいでそれを使うには脳で処理する必要がある。その為この様なものを構築したみたいだ。実際に使用したことはないらしいのでよく分からないらしい。しかし、もし使用したところで影響は出ないようにするみたいだ。使用したとしても1%以下を予定しているみたいだ。


 それにしても美しさはある。彼女は何か人ならざる者であるとひしひしと伝わってくる。妖艶な彼女は別の世界にいるみたいだけどどこで何をしているのだろうか。

「君が悩んでいる答えるよ」

 急に彼女は一言言う。

「私の住んでいる場所は、ここと違うところ。やっていることは彼と一緒に過ごすだけ、一応女神様といわれるようなことをしているけど特に今は何もしていないね。それより面倒な相手がいるからその対策かな。この世界も彼女が関わっているんじゃないかな。まあ、どうでもいいんだけどね」

 何で答えれたんだ?

「いま、理由が知りたいと考えたでしょう。私の魔力で思考を見ることができるの。君が何を考えようが見ることができるわ。対象は自由だから素晴らしいものよね」

「それは、恐ろしいですね。僕は的には嫌いです」

「君しっかり言うね。私は嫌いではないよ」

「どうせ、考えていることがばれるんだったらはっきり言いますよ」

「それもそうだな」


 彼女は驚いていたがミリアが何かしたのかすぐに黙った。何をしたのかは僕がいろいろと見てみたが何も変化はなかった。何をしたんだろう。

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