第41話 敗北

「それは非常に残念だ。私としては君もこちら側に来て欲しかったんだが」

 少しよくない流れだ。相手は何故か僕よりも高い権限を握っている。変更するのは不可能だろう。勝てるかと言われたら少しばかり不安しかない。

「期待には応えられそうにはないな。私としては誰もがこのような権限が不要な世界であって欲しいのだがあなたには興味がなさそうだ」

「それなら力で分かるか」


 そうして一方的な展開が始まった。

 ボロボロになっていく体。可憐さんのあの顔は忘れないだろう。あのひどく絶望した顔は...そうして意識が途切れていく。

 あぁ、治癒など有効化していたはずなのにこれほど連続されるとはそして僕はどこにも届かなかった。ごめんユカさん。ごめんなさい..かりん...最後までそう考えていた。



 目が覚める。天井がある。混乱している記憶を整理する。自分のステータスを確認する。体には少し問題が残っているが何も問題なく権限も剥奪はされていない。ここはどこかをそして確認する。日本の僕の家系の私有地だ。


「やっとお目覚めになりましたか」

 遠くから声が聞こえる。その声は確かミリアさん。


「あなたが一人で向かうとは思っていましたがここまでとは予想しておりませんでした。私のミスでもあります。私も向かったのですがそんなに時間がなかったのは少しばかり残念です」

「そう」

「しかし、あなたが頑張ってくれたおかげでミリア様まで異常が伝わったと考えます。ミリア様から連絡が来ましたので」

「そうなのか。それよりも先に何で僕がここにいるか教えてくれ」

「そうでしたね。私ったらつい興奮してしまいました。あなたはあそこでやられました。しかし、ミリア様が防衛の特殊な効果をつけていてくれたため致命的な怪我は与えられず私があなたを回収しました。私には権限がありませんがダメージは食らわないので」

「そうか。それでさっきの話しは」

「そうですね。君の本家の自宅の地下に体があるからそれを解放して欲しいと言うことみたいです。私にはよく分かりませんが」


「それでは私はこれで戻ることにするわ。あなたの世話のために彼女は呼んでいるから、心配することはないさ」

 そう言って彼女は消えた。どこに行くのかも僕には分からないが少しばかりつらそうにしているのはなんとなく分かった。


 しばらくして、少し荒い息づかいが聞こえ、かりんさんがやって来た。

「大丈夫でしょうか」

「何も問題はないよ」

 体には傷はないが体が重いただそれだけだ。ということだから。


 そして、ここがどこかなどを確認したので明日にでも移動を始めることにしよう。

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