第31話 目的地へ

 ユカさんとの交渉が始まりそうだ。

 彼女が安心できる場所に移動するために。もしくは現状を理解して貰えるように。


「ユカさん」

 そこから始まる会話はなんとなくぎこちなく進んでいく。彼女が違和感があったのは何か感じていたみたい。

「それにしても、君と話しているといつもドキドキするよ。すこし考えただけでもドキドキが止まらないんだ。もしかして、これは恋かな」

「そうだったら...」


「可憐さん、これって」

「そうですね。元からだったかもしれませんね。記憶を曖昧になっていますが現在は戻っているはずですし何よりまだ展開されたクラスを使用していません。すこし素直になってしまっただけかもしれませんね」

「本当に」

「はい」

「そうか」

 すこし涙を流す。使わなくても良かったのかもしれない。だけど、彼女を救った。そういうことだろう。

「私も恋をしたいものですね」

 可憐さんはぽつりとつぶやいていた。


 それにしても楽しく会話することが出来た。詳しくはいえなかったが何かが変わっていて僕の家は安全だということ、そして君の家もしばらくすれば安全に出来るようにするということ。

「君の先祖は凄い方ばかりだからね」

 彼女はそう言っていた。凄い方とは思うけどどういうことだろう。


 それでは、そろそろここら辺も危険だろう。両親は大丈夫だとは思う。何故か分からないがそのような気がする。なので、僕一人で欧州まで行くしかない。準備を始めるか。


 こっそりと準備を始めた。海外に行くのは容易だった時期があったみたいだけれども現在は昔と同じように電子パスポートがないといけない。海外からの不法移民が大量にやってきてどこの国もそうなってしまったみたいだ。電子パスポートと言っても大体の計画を送るだけで良い。実際なくてもいい気がするが他の国と全て統一されているわけではないのでしょうがない。

 荷物もまとまった。後は一応許可を貰っておくか。そうして許可を貰い欧州に向かうことになった。滞在期間は2日程度。その間に情報を仕入れなければならない。もう一度計画を練り直そう。

 そうして計画が仕上がっていく。多くの国を巡って確認をする。おじさんが居たのはドイツだったはずだ。挨拶もしておくべきかもしれない。そんなことを考えながら数時間で欧州へ到着した。


「ここが欧州か」

「そうですね。日本とはなんだか違うような香りがしますがそれが海外に来たということの証明な気もしますね」

 現在地は、フランス。ここから二日間の旅が始まる。

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