第28話 旅行そして帰宅

 そうして静かな夜がやってくる。住んでいる場所とは違いまだ自然が残っているためかすかに虫の鳴き声が聞こえてくる。あの場所とは異なるがすこしばかりなので心地が良い。

 それにしても、この旅館はすこしばかり寂しさも感じる。他にもお客さんはいるはずなのにまあ、このような物かもしれないが。

「夕飯を食べてからまた温泉に行きませんか」

「そうですね」

 旅館の料理は贅を尽くした物だった。十分満足した。その前にいろいろと食べてしまったことはすこしばかり後悔しないといけないかもしれない。


 しばらくして温泉に到着した。2度目だが気持ちよい温泉だった。今回は長く湯船につかり露天風呂で空を見ていたからかなんだかうっとりとした気分となっていた。

 二人で部屋に戻る。既に布団などはいつの間にか用意されていた。


 そうして一夜があける。十分な夜だった。

「それでは帰りましょうか」

「どこか寄りたいところはありますか」

「特にないですね。かりんが寄りたいところがあったら寄ってもいいよ」

「分かりました。まだまだ時間には余裕がありますのですこし離れた街をぐるっと回って帰宅しましょうか。時間はまだまだありますからね」

 そうして、街の様子を眺めながら帰宅をした。こちらは僕が住んでいる場所よりは都会に近いがまあ似たような物であった。環境保全開発制限指定区だらけなので開発が一点に集中するのも無理もないだろう。

 そうして、帰宅することになった。車はすこしばかり珍しい物になっていたような気もするが昔の車はやはり乗り心地が良い。今のは快適すぎて寝てしまうのだから。


 そうして数日が経過した。今日で自宅に戻ることになっていた。その為父が迎えに来た。そうして僕は父に連れられて帰宅する。

「かりんさん、又会いましょう」

「はい」

 彼女は笑顔で迎えてくれた。


「お父さん、初めて召使いさんがいたなんて初めて知ったよ」

「言ってなかったか」

「うん」

「それじゃあ、このことは家族以外には言わなくていいからな」


「昔、いろいろとあって彼女ら一族は私たちに仕えることになっている。長女は私たちに仕えるために生まれてから家事などいろいろ出来るように訓練などをしているんだ。今は俺でも出来るように簡単になっているがそれでも習うのは昔ならではでの方法でだ。そして、俺らに仕える」

「そうなんだ」

「そして、彼女らは絶対に他の人と結ばれないかわいそうだがそのようになっている」


 そうして知っている話しや知らない話を聞き自宅に到着する。自宅には親戚の一部が集まっていて僕に頭を下げていた。

「お久しぶりですね。おじさん」

「大きくなりましたな」

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