第20話 事件

 明らかに雰囲気が変わった。そして、僕以外にも注目されるようになった人がいる。それは、ユカさんだ。彼女は、死んだと思われていたけど今生きているのだから少しばかり注目されるのだろう。彼らが管理していたのが急に解除されたのだから。彼女に対して危害がなければいいのだけど。

「彼女に対して少し心配があるのですが」

「主様、私もそう思いますが彼女がもし使われるとされるのであれば脅迫とかにしか利用することが出来ないと思われます。目標は主様ですから」

「脅迫か」

「そうなる前に、対策するしかありませんね。私の方で私みたいな物を要求しておきますね。今回は、主様の家系からアクセスさせて貰いますね。今回使うのは最低限の物で一時しのぎをしましょう」

 複雑だ。なんで彼女は家の権限をも落ちいて生成しているのだろうか。まあ、それよりも海外に行ってその相手をどうにかするのが一番早いと思うのだけど...まだ詳しい場所が分からない。それだけが問題だ。


 数日が経過した。今日は、友人と帰ることとなっていた。帰宅していたのだがいつも通らないような道を通っていた。そこは、手入れがあまりされているとは思われないような場所だった。土地の所有者問題が未だに解決できていない国なので手入れできていないところがあっても不思議ではないがこのような場所に来ること自体が珍しい。

「どうして、こんなところに来たの」

「それは」

「うっ」

 痛みを感じた場所を触る。血がだらだらと流れやばい状況だと理解する。そして、足から崩れ落ちてしまった。力が入らない。

「主様」

 僕を刺しただろう友人は既に戻ろうとしていた。近くにナイフを捨てて。僕は、なんだか声も出す気も出来なかった。端末が身体の異常を検知してアラームが鳴っているところで記憶が途絶えた。


 目を開けると自宅にいた。

「主様」

 可憐がそう話しかけてくる。

「可憐...どうなったんだ」

 そう、一言話した。家族も気づいて僕のところに駆けつけてきた。親戚がいつの間にか集まっていた。

 僕はしばらく休んでいていいということだ。誰か一人だけいる部屋に変わった。夜になる。空はキラキラと輝く星が僕を外に呼んでいるような気がする。しかし、動くことはしなかった。僕を巻いている包帯が全てを物語っているのだから。


「主様」

「なんだい、可憐」

「みなさんが、寝静まったのでこれまでのことをお話しします。もし聞きたくなかったりしましたら遠慮なくお申し出ください。そのときはやめますから」


 そうして、長い彼女の話は始まった。僕が倒れてから急いで端末との連携を解除して家族を呼んだと。そして、親戚の中にお医者さんがいるのですぐに対応したと言うことだ。簡単にはそんなことがあったみたいだけど僕には心配事があった。

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