第19話 試し

「それにしても綺麗な夕日ね」

「そうだね。もっと綺麗に見れるところはあるかもしれないけどここが好きなんだよ」


「それじゃあ帰ろうか」

 帰宅する。数人とすれ違ったが誰もが僕のことを見たような気がする。あまりにも気にしすぎているのかそれとも。

「可憐さん」

「君の考えているとおりいろいろな人に見られているね。君を監視するように動いているみたいだ。主様はいつも通りに過ごしておけばいいですね。それなら過度に刺激することもないでしょう」

「そうだね」

「あと、できる限り詳細情報を見ることをおすすめします。私自体も見れますが主様ほどは見ることができませんので」

 帰宅する。いつもと変わらない。まあ、数十分離れていただけだから何も変わりがないはずだ。家のお近くにはなんか落とし物があった。まあ、それは同じ学校の生徒であり更に同じクラスでもある人だった。明日にでも持って行こうか。辺りを見渡してもおいないしそれに夜遅いから。だけど一応家の前に置いておくか。

 翌日。朝見てたがそこに変わらずに存在していた。なので持って行ってあげることにした。

「君、これ落としていたよ」

「ありがとう。だけど、何でこれが僕の物だと気づいたの」

「それは」

 やばい、何も持っていた証拠を握っていない。どうして言い訳するか。

「この前持っていたような気がしてね」

「そう、僕は君に対して見せたことがなかったのに。というか誰にも見せたことがないのに」

 やばいことになってしまった。家の前にカメラがあって監視していたことにすれば良かったかもしれない。だけど、監視体制が厳しい現在ではほぼ必要ない。というか昔は、物が盗まれることが多かったと聞いたけど現在は盗まれることはほとんど聞いたことが無い。欲しいものは何でも入手することが容易なため盗むほどでもないということだ。


 なんとか話しを終わらすことが出来た。

「これは、試されましたね」

 どういうことか分からなかった。

「それはどういう」

「主様は心優しいですね。私よりも遙かに心優しい。今回、家の前に置かれていましたね物が」

「はい」

「それは、命令によって実行されたのですね。主様が本当に能力を持っているのかと」

「それで、試したと」

「そうです。あれは誰が落としたのか分からない。なので警察にお願いをして持ち主に返すのが普通です。しかし、今回主様は彼が一度も見せたこともないものをすぐに当てて返してしまったと言うことです」

「それで、試されたと言うことですか」

「そうですね。自体はあまり良くない方向に進んでいるのかもしれません」



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