第9話 裁き

 数日が経過した。視線は減ったような気がする。まあ、慣れという物もあるのかもしれない。

「今日は夜の世界に行きませんか」

 可憐がそんなことを言っている。

「夜の世界」

「そうです。基本的にこの世界は問題が起こらないようになっています。しかしこれまでの世界を元に制作しております。なのですが、人間の悪と言われる部分もよく再現されておりそれが暴走してしまう場合があります。それは基本的に私たちのような方が解決しているのですが最近それが多くなっていると報告がありました。それを解決して欲しいと言うことです」

「解決できる物ですか」

「基本的に見つけることがお仕事ですね。そしたら、その対象対してこちらが用意してあるメソッドを実行して処理しても貰うだけです」

「それは簡単そうだ」


 空が暗くなる。街灯に照らされた中を歩いて行く。まだ22時ぐらいだから人はまだ多くいた。このような時間に抜け出すことはなかったので少しばかり不安だ。

「じゃあ、早速悪いことをしている人を見つけましょうか」

「はい」


 何も起こらず時間だけが過ぎていく。ここは、この県の中でも治安が悪いとなっている場所だ。まあ、この県自体が犯罪が起きにくいような県民性なので起こらないのも不思議ではない。そうして、暗闇は深まっていった。

 夜中の2時になった。空はそれなりの暗さを保っているが街はまだ街灯で明かるく照らされている。そうしていると喧嘩が始まった。

 基本的に、端末を誰もが持っているのでしばらく待っていればロボットもしくは警官が来てこれを片付けるだろう。なので、急がなければならない。このような喧嘩は些細なことから始まるが彼らは冷静さを欠いている。そんな状態で真ん中に突入するのは危険だがこれをするのが仕事みたいな物なのだからしょうがない。

 このメソッドは内容は見れないようになっていたけど話しをまとめると管理の方に報告するのがメインの内容と言うことだ。喧嘩している双方に触りそれを動かす。


 喧嘩は、数十秒後に解決した。こんなにあっさりと、そして僕に対して謝罪もしてきた。あまりにも早すぎるような気がするが効率的に組まれているのだろう。そうして、何か起きないかを待っていると朝日が見えそうになってくる。

「今日は、2人でしたね。これからも、頑張りましょう」

 そう、可憐は話しかけてくる。

「だな」

 僕は一言短く答えた。

 そして、今日は学校だ。新たな力を身につけたような気もするので不思議と不安は存在しなかった。

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