第7話 刺客

 何もない一日だった。この機能を気に入り遊んでいた。

 端末が鳴りビックリした。これは、1人1台が義務づけられているコンパクトな物だ。僕はこの長方形のを基本的に愛用している。それがなくても一応は見れるらしいが落ち着くような気がするのでこれだ。

「緊急ニュースです」

 そこから、始まったニュースは僕という個人を特定しそれを攻撃しろと言うようなニュースだった。


 どうしよう。聞けば聞くほど僕だと思う。

「落ち着きなさい。これは嘘よ」

「えっ」

「こんなのに騙されるなんて。情けないわ」

「なんで断定できるんだ」

「まず、文章が幼稚だよね。そして、このようなことは基本的にニュースで言わないよ。もしいるのであれば政府の関係者が極秘で接近してくるからね。多分これは海外系で日本語に対して抵抗があったんだろう。それでテスト的にこのようなことをしたに違いないだろうね」

 彼女はそう言っていた。

「試しに街中を動いてみたらいいんじゃないかな」

 総彼女に言われ面倒ながら街に出た。休日だが予想通り人は少ない。検証するのであれば何の問題も無いだろう。街中でも僕は注目されることなくいつもと変わりは無かった。気になったと言うか誰もがなんだか無気力のような気がする程度だった。

 ここに来たのでなんか楽しんでから帰宅することにしようか。そうと言ってもここで楽しむことなんて基本的にはない。ベンチに座りゆっくりしているとなんだか視線を感じた気がする。そちらの方向を覗いたが特に誰もいる感じがしなかった。変えるときもなんだか見られている気がする。後ろを振り返っても誰もいない。あんなニュースを見たからこんなに心配になっているのかもしれない。

「可憐さん」

「君は、少し気をつけた方がいいかもしれないね。そのまままっすぐ何もしゃべらずに帰った方がいいかもしれない」

「それは」

「主様であっても、今は私の指示に従って欲しい」

 いつもと違い少し重たい感じで話しかけてきた彼女は少し不安そうにしていた。僕は、素直に従うことにした。

 その間もなんだか見られているような気がする。もし人が後ろにいるのであればそれはストーカーだろう。僕にストーカーができるなんてと少しだけ楽しんでいる自分がいた。家に帰り着き辺りを見たが誰もいなかった。

「ここまで来れば安心ね。ここの中に入るのは難しいですから」

「それで、何かあったの」

「そうだね、君は何者かに後ろをつけられていたね。まあ、誰かはほぼ特定できているけど君にはまだ教えなくてもいいかな」

 彼女はそう言い。少し考えているようだった。

「今回はあまり良いことにならなかった。私は謝ろう。そしてこれから、あまり出かけない方がいいかもしれない」


 それが、誰かは分からないがまだ僕に敵対はしていないということだろう。

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