第124話 高額依頼
ライト達は冒険者ギルドに帰還すると受付嬢のミントに報告するとキラキラと輝く報酬金が机の上に置かれる。
たんまりと積み重なったいる金銭と札束にマレインは驚くとリリアは手を伸ばし財布の中へ収納していく。
ライトは早々に併設されている飲食店の席につきメニュー表に手を伸ばす。
ライト 「今日は豪勢に美味しいもん食おうぜー!マレインも火の魔法を使えた事だし!」
続いてネイリー、リリア、マレインも着席するとメニュー表を手に取る。如何にもご機嫌なライトは満面の笑みでメニュー表のページを捲る。
ライト (今日なら堂々とあのメニューを言える!)
ライトはページを捲ると前もって決めていたメニューを仲間達に見えるように角度を変え指を差す。
ライト 「今日は”海鮮パスタ”にしよう!」
ライトが指を差すメニューをネイリー、リリア、マレインは見つめる。
ネイリー 「”海鮮パスタ”…か。ふむ。美味しそうだな」
リリア 「何々、エビ、アサリ、イカ、ホタテ、カニとあらゆる海産物とトマト、ホワイトソースのミックス…。そしてとろ~りとしたチーズもトッピング…大皿は8000シル」
リリアは目を細め説明を読み上げている最中、ライトの心臓音はバクバクと音が鳴り息を呑む。
マレイン 「私は何でも大丈夫だよ」
リリアが目を閉じすぅっと息を吸うとコクリと頷く。
リリア 「今日は一杯稼いだからそれにしよ!あ、あと…”メロンクリームソーダ”もいい…?」
リリアは頬を赤く染めるとメニュー表で顔を覆う。
ネイリー 「私も”メロンクリームソーダ”を食べたい…」
ライト 「おう!食べよう食べよう!じゃんじゃんいこうぜ!すいませーん!」
ライトは店員を呼び止め”海鮮パスタ”の大皿と”メロンクリームソーダ”を4つ注文する。
昨日まで財布事情でお金の予算にシビアだった注文の仕方だったが、羽振りのいい注文に一変しマレインは笑みを零すライト、ネイリー、リリアの顔を順々に見つめていく。
マレイン 「今日、そんなに稼げたんだ?」
ライト 「あぁ!今日の依頼はラッキーだったな」
ネイリー 「そうだな…」
リリア 「ね!しかも結構高額依頼だったし。条件がサファイアローメン国出身者、16歳のピンク色の長い髪をしたサラサラヘアーで気品のある女性ってネイリー以外におもいつかないや…」
マレイン 「えぇ!?出身、そして容姿と年齢まで限定!?どんな依頼だったの?」
3人は受けた依頼を思い返す。
———【今朝】
本日の朝まで時は遡る。朝食を済ませるとマレインは一目散にファイヤー村へと向かい、残りの3人は無造作に依頼書が貼られている掲示板を眺める。
ライト 「今日の依頼は何にしようかなぁ~」
ネイリー 「昨日まで単独行動だったが今日は3人共同で受けないか?」
リリア 「そうだね。3人だと高額依頼達成出来そうだし———んんっ!?」
無造作に貼られている依頼書の掲示板を3人は眺めているとリリアは1枚の紙に目が止まる。
リリア 「護衛を求む。条件はサファイアローメン国出身者、16歳のピンク色の長い髪をしたサラサラヘアーで気品のある女性。集合場所はエレメンタル街下層にて。報酬金は20万っ!?」
細かく説明が書かれている依頼書の文字を読む上げると報酬金額にリリアは驚く。
ライト 「サファイアローメン国出身者、16歳のピンク色の長い髪をしたサラサラヘアーで気品のある女性―――」
隣に立つネイリーの姿をジッと見つめる。艶やかなピンク色の長い髪はサラサラで出身もサファイアローメン国のネイリーだがライトは腕を組むと首を傾ける。
ライト 「気品?ネイリーはちょっと違うなぁ!ははは!―――グフゥッ!!」
ライトはケラケラと笑うとネイリーにビンタされ掲示板前で倒れる。
ネイリー 「失礼な奴だな。私はサファイアローメン国の王族だぞ?幼少期からレディーとしての振舞は身体に叩き込まれているんだ」
赤くなった頬を抑えながら涙目で倒れるライトの前でネイリーは鼻を鳴らすと腕を組み顔を背ける。
リリア 「報酬額は凄いけど…」
ネイリー 「最近、流行りの闇依頼では無いのか?怪しいぞ」
倒れていたライトは赤くなった頬を手で抑えながら立ち上がると掲示板の天辺を見つめる。”闇依頼多数!被害にあった場合は即、冒険者ギルドに報告を!”と注意喚起の文章が大きな文字で書かれている。
リリア 「うん、怪しそうだけど20万かぁ…」
金欠の3人は息を呑むと互いに顔を見合う。
ライト 「何かあればすぐ逃げればいいんじゃねーか?」
ネイリー 「そ、そうだな…」
リリア 「う、うん。そうだよね」
3人は怪しさ満点の依頼を受ける事を決めるとライトは依頼書を手に取り受付嬢のミントの方へ向かう。
ライト 「ミントの姉ちゃん!この依頼を受けたいんだ!」
棚の整理をしていたミントは声を掛けられ振り返るとライトは依頼書を机の上に置く。
ミント 「あぁ!こちらの依頼ですね」
ライト 「この依頼、大丈夫なのか?」
ライトに問われミントはネイリーの顔を見つめると笑い声を漏らす。
ミント 「大丈夫ですよ。こちらの依頼主の顔は知ってますし」
3人はミントの答えに安堵する。契約魔法を掛けて貰うとライト、ネイリー、リリアは依頼を受けるとエレメント街下層へと向かう。
噴水前まで辿り着くと黒いシルクハットの帽子を被りサングラスを身に着ける少年が現れ小走りで迫る。
少年の背後から後を追うように男性と女性が走り現れる。噴水の前で立つライト達の元まで辿り着くと、ネイリーとさほど身長が変わらない少年は笑みを浮かべる。
「君たちが護衛してくれる人達かい?」
ライト 「あぁ!条件に合う人も連れてきたぞ」
ライトは隣に立つネイリーを横目で見る。
少年はネイリーの姿を観た途端、サングラス越しでも分かる程の満面の笑みを見せる。
「ね———ゲフンゲフンっ!ここの街で買い物をするので護衛を頼む」
少年は咳き込むと無表情に戻りクールを装う。
ネイリー 「ん…?この街で買い物をするだけか?」
「うん!そうだよ!ねえ———ゴフッゴフッ!!あぁ。ここで買い物をする」
再び咳き込む少年に3人は顔を見合わせると首を傾げる。
リリア 「それだけで良いのですか?高額な依頼なのに…」
「あぁ。姉様と一緒にいられるな———ゲッフゲッフ!!コホンっ!!すまない!最近、痰が絡んでな」
妙な振舞を見せる少年の左右に立つ男性と女性ね姿をネイリーは交互に見つめる。
甲冑を着用している男性は、黒いハット帽子を被りサングラスを身に着け、メイド服を着た女性は長い茶色の髪を一本に結び、黒いカンカン帽から黒いベールが垂れ顔を覆っている。
顔を隠すように装飾品を身に着ける3人にネイリーの目付きが鋭くなる。
ネイリー (エルダーとマーサ、ビリーの姿に似ているような気もするが…気のせいか?)
弟のエルダー、侍女のマーサ、ネイリー専属の護衛隊長のビリーの面影を重ねながらネイリーは少年と左右に立つ男女の人物を順々に見つめていく。
男女の人物はネイリーと目が合うと逸らし、背中を見せるとライトとリリアはネイリーを中心に肩を寄せる。
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