第108話 身分の差
ライト 「ハァハァ…あっぶねー!バレる所だったな!」
国立図書館から全力で走ると、ある程度まで離れ4人は膝に手をあて呼吸を整える。
ネイリー 「あぁ。危ないところだったな。ライト、お前もややこしい名前を言うな」
リリア 「そうだよ!まぁ…私達もうっかりしてから強くいけないけど…」
マレイン 「とりあえず何事も無くてよかったよ」
呼吸を整えるとライトは改めてエレメンタル街中層の街並みを見渡す。下層より気品のある建物の仕立屋、魔道具屋、高価なものばかりの装飾具店、そして建物は大きく如何にも豪華な料理がありそうな外観の料理店。
ライトは料理店に向い指を差す。
ライト 「なぁ。あそこに美味しそうな料理店あるから、行かないか?」
ネイリー 「そうだな。休憩を挟むのにもいいかもな」
リリア 「どんな食べ物があるか楽しみだね!」
マレイン 「私も喉がカラカラだよ…。行こうか」
4人は料理店の中へ入ると店員と思われる男性がライト達の側へ駆けつける。
「何名様です―――」
マレインの顔を見た途端、店員は服装を上から下へと見つめていく。
「お客様、申し訳ありませんが庶民の方はちょっと…」
マレイン 「えっ…?」
ネイリー 「ここの店は貴族しか使えないのか?」
「いえ…。そういう訳では…」
店員は口ごもると既に着席している客の方へチラリと目だけ動かす。着席している貴族はマレインを睨むように鋭い目をしていた。
マレイン 「…すまない。邪魔をしたね」
そう呟くとマレインは肩を落とし一目散に店外へと出るとライト達も追いかけるように外へ出る。
肩を落としトボトボと歩くマレインにライトは肩を掴む。
ライト 「マレイン。そう落ち込むなよ…」
マレイン 「庶民の人達はこんな生活を送っていたんだね…」
マレインは訪れた村の人々の事を思い返す。貧困な生活を送りながらも苦難を乗り越え過ごす村の人達。
ネイリー 「そうだな。これが現状だな」
マレイン 「よくして貰った村の人達もこんな扱いをされていると思ったら何か悔しい…。自分は王族だから優遇されていただけなんだね」
リリア 「とりあえず、食事は下層に行って済ませようよ」
ライト達はエレメンタル街中層の片隅にある上った階段を見つめる。
ライト 「またあの長い階段を下るしかないのか?」
ネイリー 「中層の兵はまた違う者だから大丈夫であろう」
リリア 「あの長い階段を下るのは流石にシンドイよね…」
マレイン 「じゃあ
4人は歩き出しエレメンタル街中層にある
重い足で歩いていると
マレイン 「
そう声を掛けると兵はマレインの服装を見つめ手で追い払うように動かす。
「ここの
「おい。どこのどいつがそう決めた」
「それは、国王様が―――ヒッ!!」
ライト達の背後から威圧感のある男性の声が聞こえ振り返る。背は高く肩上まで伸びる赤い髪をした男性は左胸にはキラキラと黄金色に輝く勲章に背中に背負うマントにはダイヤスファ国のシンボルである火鳥の紋章が縫われている。
兵はライト達の背後に立つ人物に顔は一気に青冷めていき後ずさる。
「お前達は尋問が必要だな」
赤い髪をした男性の足元に茶色の魔法陣が展開され右腕を前に出す。
「こ、これは違います!」
「そうです!下層にいる奴らに言われて!!」
「言い訳は無用。
土魔法を詠唱し2人の兵はレオが唱えた檻の中に閉じ込められ観念する。
「この者達を牢屋にいれろ!」
部下に指示すると拘束した檻を風魔法で浮かし運んでいった。
「マレイン様。私の部下が大変無礼な態度をしてしまい申し訳ありませんでした。どのような処罰も受けます」
跪き謝罪の言葉を述べるがマレインは首を横に振る。
マレイン 「ううん。良いんだ」
立ち上がると男性はため息を吐き額に手を当てる。
「マレイン様はお優しすぎる…。それより、そのような服装で何をなされているのです?」
男性は目を丸くしマレインの服装を上から下へと眺めていく。
マレイン 「ちょっと庶民の恰好で旅をしようと思って」
「えっ!?旅を!?」
ライト 「マレイン。誰だ?」
リリア 「とても強そう…」
ネイリー 「ミラとオリヴィエが話していたレオ副団長だ」
レオは右胸に手を当て深々と頭を下げる。
レオ 「ダイヤスファ国の魔法副団長、レオ・パージンです。ネイリー姫。ご無沙汰しております。丁度、マレイン様の屋敷に向う途中でした」
ネイリー 「あぁ。楽にしていい」
ライト 「ラ、ライト・フォーレンででです」
リリア 「リリア・メインティスと申します」
頭を下げお辞儀をするレオにライトとリリアも軽くお辞儀をする。
レオ 「さぁ。皆さま。
4人は頷くとレオを筆頭に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます