第105話 昇る魔道具
ライト達はマレインを筆頭にとある場所へと向かう。
ライト 「そのコクリツトショカンってどこにあるんだ?」
マレイン 「エレメンタル街の中層にあるよ」
マレインは顔をあげ雲のように浮かぶ島に指を差すとライト達は見上げる。中間層と更に上層に浮かぶ島の街には遠目で豆粒程度にしか見えないが風魔法で飛び入国する姿があった。
ライト 「あれが街?」
マレイン 「うん。指を差したのが貴族が住む中層。買い物とかする程度なら庶民も行き来が出来るよ。更に上にある上層がダイヤスファ国の王宮とごくわずかな貴族しか住めない場所だよ」
ネイリー 「サファイアローメン国でいう中層はシルバー街…か」
リリア 「ネイリーが魔道具と服を買ってくれた街だよね」
ライト 「そのチュウソウっていうのはどうやっていくんだ?」
マレインは街と下層から中層へと縦で繋がる位置に指を差す。
マレイン 「あれは乗ったら上下行き来が出来る
透明に包まれたガラスの中に人が下から上へと移動する光景を見てライトは腕をあげジャンプする。
ライト 「すっげーーー!!俺も早く乗りてー!!」
ネイリー 「ダイヤスファ国は魔道具が発展しているな」
マレイン 「魔道具はダイヤスファ国が生産しているからね」
リリア 「どうやってあそこまで行くのか楽しみ~♪」
マレイン 「まずはエレメンタル街の下層を目指そう」
マレインを筆頭に魔道具に興奮気味なライト達はエレメンタル街の下層へと向かっていった。
そう遠くないエレメンタル街の下層に辿り着くと大勢の人が行き交い食材、雑貨、装飾具店、料理店、魔道具、服などの売っている店舗が並んでいた。
ライト 「すっげーーーー!!」
賑わう店舗にライトは辺りをウロウロとしながら見渡すとマレインは日の光が当たらない場所に指を差す。
マレイン 「あそこに
ライト 「よしっ!早速、食事をしてから向かお―――イデデデデ!!」
リリアに耳を掴まれライトはヒリヒリと痛みを感じる耳元を押さえる。
リリア 「コラッ!ご飯は後で!」
ネイリー 「さっき食べたばかりであろう!」
ライト 「スミマセンデシタ」
2人の剣幕にライトは小さく縮こまるとマレインは苦笑し
マレイン 「失礼。この
「お前ら乗る金銭は持っているのか?―――ん…?何だかマレイン様の顔に似ているような…?」
振り返った兵はマレインの服装をマジマジと見つめると腹を抱え大きな声で笑う。
「オイオイ!王族であるマレイン様がこんな薄汚い庶民が着るような服を着ないだろ!」
「ははは!それもそうだな!後ろに立つ奴等はそれなりに質の良い服を着ているらしいが…」
ケラケラと笑う兵にマレインは後ずさり青ざめていく。
マレイン (庶民だけでここまで扱いが違うのか…)
兵は笑い終えるとライト、ネイリー、リリアの服装を順々に見つめていく。
「この国では見かけない服だな?」
ライト 「あぁ!俺達はサファイアローメン国から来た冒険者なんだ!」
2人の兵は周りに聞こえないように小さな声でヒソヒソと話す。
「まぁ、この
マレイン 「えっ…?
「あ…あぁ!ついこの間、国王様が外部の国の者と庶民は10万シルって決めたそうだ!まぁ、どうしても中層に行きたいならあの階段を上る事だな!」
兵はすぐ隣にある長い階段に指を差すと気品のある身なりを着こなす家族が現れマレイン達の場から早々に離れる。
「お貴族様ですか!お一人様、300シルです!」
兵は代金と手の平が一杯になるほどのチップを貰うと下ってきた
ライト 「どういう事だ?10万シルって高すぎだろ!」
マレイン 「10万だなんて父上は決めてないよ…」
ネイリー 「貴族から貰うチップが目的であろうな」
リリア 「すっごいムカつく!何なのアイツら!」
態度に不満を感じるが特にリリアはジタバタと足を踏みカンカンに怒る。
ライト 「隣にある階段なら金が掛かんないんだよな?」
兵の態度に不満の声を漏らす4人は隣にある長い階段を見上げる。
マレイン 「この階段。
ネイリー 「これに上るしかなさそうだな」
リリア 「しょうがないね。あれを上ろう」
4人は仕方なしに肩を降ろしながら階段を上っていく。最初の内は順調に上っていく4人だが中間ぐらいの位置でマレインは階段の手すりに掴まると息を切らし足が止まる。
ライト 「マレインー!大丈夫かー?」
マレイン 「ハァハァ…。すまない。この階段を上るのは始めてで…」
自己鍛錬を怠らなかったライト、ネイリー、リリアは充分に体力があり順調に階段を上っていた。だが、マレインは能力が低いから…と自己鍛錬から目を背けた結果、筋肉がライト達と比べ衰えていた。
ライト 「ちょっと休憩するか?」
ネイリー 「そうだな」
リリア 「うん。無理しても仕方ないよね」
4人は階段の段差に座るとマジックバックから水を取り出し喉に通す。
マレイン 「ごめん。自国の王族なのに…この階段すら上った事がないだなんて情けないよね」
顔を俯け小さな声で話すマレインにライトは肩に腕を回す。
ライト 「気にすんなってマレイン!」
ネイリー 「マレイン。お前はこの国を変えようと"自分の意思"で動いているのであろう?それで十分だ」
リリア 「そうそう!半分まできたんだしもう少しだよ!」
マレイン 「ライト、ネイリー、リリア…。ありがとう!」
ライト達の言葉にマレインは心が温まり充分な休憩を取ると再び階段を上っていく。
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