第86話 食欲旺盛
ネイリー 「んっ…。このクリームシチューがかけられているオムライスも美味しい」
リリア 「ゴクッ。ん~~~!美味しい~~!」
至福の顔を見せる2人に、一方ライトはスプーンでガツガツとオムライスを口に運び平らげる。
ライト 「もご!もごもごもご!!」
口に料理が含まれながらも手をあげ使用人におかわりの合図をする。
ミラ (ライト様の食べ方が凄まじいわ…!!庶民のお方は野良犬のように食事をするのね…!!)
隣に座るライトをミラは横目で見つめる。昨日、ライト共に食事した時もマナーの認識に驚いたが今日は予想を上回る食べっぷりにミラはスプーンの手が止まる。
マレイン 「ふう!おかわり!!」
すっかりオムライスの虜となったマレインはペロリと皿を平らげると手をあげる。
ミラ (お兄様はいつも小食なのに2回目のおかわり!何があったのかしら?)
アース村で必死にかけ走り、魔法を扱い、体力を消耗したマレインは健康体となり年相応の食欲を取り戻す。
ネイリー 「私もおかわり!」
リリア 「私もーー!」
お淑やかに食をする女子組も、1皿目のオムライスを綺麗に平らげると物足らなさを感じ手をあげる。
ミラ (ネイリー様とリリア様も!?私だけおかわりしてない!沢山食べなきゃ!)
一方、厨房では料理を作ってはおかわりの注文が殺到し料理長は腕を振るう。
「ライト様が再びオムライスのおかわりだそうです!」
「マレイン様がオムライスをおかわりです!」
「ネイリー様とリリア様もおかわりです!」
食堂から走る使用人達が厨房に向い大声で叫ぶ。
「よしっ!まだまだ食べるだろうから多めに作るか!マレイン様も勿論、お客様の腹を満たすのも優先だ!卵を予め割っておいて、ライスは―――」
部下に指示する料理長の声が厨房に響く。
(あの小食なマレイン様が…)
自分の作った料理を美味しく食べていると想像した料理長から笑みが零れる。料理長が厨房で指示をする中、初めての賑わう声が響く。
ライト 「ふーー。腹いっぱい……」
ネイリー 「あぁ。美味しかった」
リリア 「やっぱ体力使った後の料理って格別に美味しいよね!元々が美味しいから沢山食べちゃったー!」
マレイン 「うん。私もこんなに料理を食べたのは初めてだよ」
4人は膨れ上がったお腹を触る。一方ミラは1皿目を平らげおかわりをするが半分ばかり残り、未だ完食が出来ずにいた。
ミラ (んーーー!!お腹が一杯ー!)
ライト 「ミラ。食べられないのか?」
中々スプーンが進まないミラに声を掛けるとスプーンを皿の上に置き、無言でコクコクと頷く。
ライト 「こんぐらいなら俺が食べてやるよ!いただきまーす!」
ミラの目の前に置かれている皿に手を伸ばすと直ぐに完食しライトは満足な顔で膨れ上がったお腹を触る。
ミラ (か、か、か、か、間接キス!!今、私が使っていたスプーンを使ったわ!!)
恥ずかしさの余りにミラは顔が一気に赤くなり手で塞ぐとライトから背ける。
ライト 「ふーーー!!美味かった!」
リリア 「もー!ライトったら食べ過ぎよ!」
お腹が満たされても尚、ミラの皿を横から奪い取り平らげるライトの行動にリリアは呆れる。
ライト 「だって美味かったんだもん~」
ネイリー 「その内、太って服まではち切れるぞ」
マレイン 「私は既に着ている服のお腹辺りが苦しいよ…」
以前まで静かだった屋敷内が笑い声で賑わう。
(ライト様、ネイリー様、リリア様がこの屋敷に来てから本当に賑やかだ…。マレイン様は素晴らしいご友人を見つけましたな)
普段、1人で屋敷で過ごしどことなく寂しい目をしていたマレインだが、ライト達が訪れてから賑やかとなり笑顔が増え執事は微笑む。
「皆さま。只今、食後の紅茶をお持ち致します」
着席する全員が執事に手をあげ「はーい」と反応する。
ライト 「俺、オムライス10皿も食っちまった!ミラの皿も半分食べたから10皿半か!ははは!」
ミラ (間接キス間接キス間接キス間接キス!ライト様ったら大胆!)
皿を幾つ食べたかをライトは自慢げに話すと豪快に笑う。ミラは食を済ましても尚、顔を両手で塞ぎ耳まで赤くする。
ネイリー 「私は2皿食べたな」
リリア 「私もお腹空いてたから2皿食べちゃった!えへへ」
お腹を摩るネイリーにリリアは舌をペロッと出し笑う。
マレイン 「私は4皿も食べてしまった。普段小食なんだけどね」
ライト 「沢山動いたから腹が減ったんだよ!マレインも男だなしな!ニシシ!」
結果、オムライスを食べたお皿の数。ライト、10皿半。ネイリー2皿。リリア2皿。マレイン4皿。ミラ1皿半となった。
その後は食事後の紅茶で食休みを済ませると全員、席から立ち上がり自室へと戻る事と無った。マレインが執事の横を通りすぎる際、足を止め振り返る。
マレイン 「料理長に"いつも美味しいご飯を作ってくれてありがとう"と伝えて貰えるかい?」
「承知致しました。マレイン様のお言葉に料理長も喜ばれるでしょう」
執事はマレインにお辞儀をすると、自室へと向かう後ろ姿を見送ると厨房へと歩く。そして、マレインの言葉を料理長に伝えると嬉しさの余りに涙を流し笑っていたそうだ。
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