第79話 未知な飲み物
マレイン 「じゃあ、店の中に入ろうか」
マレインは3人に声を掛けると、先頭に立ち飲食店の扉を押す。扉を押すと鈴の音がカランカランと鳴り4人は店内に足を踏み入れる。ガヤガヤと賑わう声が飛び交う中、空いているテーブル席を見つけるとマレインは指を差し着席する。ライトは着席すると、リリアに注意されたのにも関わらず一目散にメニュー表を手に取り、開くと端から端まで料理をチェックする。
ライト 「ん?このコーラフロートって何だ?」
ライトがメニュー表に指を差すと、隣に座るマレインは覗き込む。
マレイン 「あぁ。それは昨日飲んだメロンクリームソーダに似ている飲み物だよ。シュワシュワの飲み物にアイスクリームが乗っているやつだね」
目の前の席に座る女性組は、眺めていたメニュー表から目を逸らしマレインを見つめる。
ネイリー 「昨日と似たような飲み物…」
リリア 「ジュル……」
如何にも飲みたい瞳で訴える女性組にマレインは苦笑する。
マレイン 「好きなメニューを頼んで良いよ?遠慮しないで」
ライト 「本当か!!んじゃ、このコーラフロートってやつと…えーっと、それから…」
熱心にメニュー表を見つめるライト。追うようにメニューを表を眺めていると、目の前に座るリリアの威圧に感知し、高速で動いていた目がピタリと止まる。
リリア 「"それから"…?」
ライトはメニュー表の上から少し顔を出すと、目の前でリリアがテーブルに肘をつき、指をトントンと叩きながら睨みつける事に気付く。ライトは何の迷いも無く素直にメニュー表をパタンと閉じる。
ライト 「イエ…ナニモ……」
リリアは呆れ顔で深い息を吐くと頷く。頼むメニューが決まるとマレインは店員に見えるように手をあげる。
「ご注文ですか?」
マレイン 「コーラフロート4つ頂けるかい?」
「はいっ!注文コーラフロート4つ入りました~!」
キッチンで料理をする者に店員が大きな声を出す。そして、注文を言い終えた店員が4人が座るテーブルから離れる瞬間。
マレイン 「後、他に頼みたい事があるんだ」
「追加のご注文ですか?」
マレイン 「いや…。何方か、土魔法を教えて欲しいのだが…」
メモとペンを持つ店員の顔から段々と笑顔がサーッと消えていく。
「申し訳ありませんが…私ではお役に…ごめんなさい」
店員がメモを腰に戻し、背中を見せ立ち去る時だった。
マレイン 「無料とは言わない。飲食代の3倍は支払うよ」
店員の1歩動かした足がピタリと止まる。そして、4人が座るテーブルの方へくるんと振り向く。
「今、土魔法が得意な者を連れてきます!」
女性の店員は4人にそう言い伝えると、勢いよく外に飛び出す。4人は女性の後ろ姿を見つめていると
「お待たせしました!コーラフロートです!」
透明なグラスに気泡の入った濃い茶色の液体、そして天辺には白く凍ったソフトクリームにストロー。
ライト 「昨日のメロンクリームソーダは緑色の液体だったけど、今日は黒いのか~!…えっ!」
ライト (ネイリーのゲテモノ料理に似たやつじゃないよな!?)
目の前に置かれたコーラフロートを警戒心MAXでライトは鼻を近づけ匂いを嗅ぐ。
マレイン 「ライト。それは濃い茶色の飲み物はコーラと呼んで消して怪しい飲み物ではないよ」
隣に座るマレインはライトの警戒した行動にクスクスと笑う。
ネイリー 「んんっ…。美味しい…。独特な味だがスッキリしている」
リリア 「ぷはっ!このコーラって飲み物も美味しい~~!」
至福な笑みでコーラフロートを堪能する女性組にライトは警戒心が少し解かれストローで吸う。
ライト 「んんっ!!」
ストローで吸った瞬間、警戒していたライトの顔が一瞬で輝き天辺のアイスクリームを瞬殺で食べ終えグラスを手に取り一気にコーラを飲み干す。
ライト 「うめ~~~!!げぷっ!!」
ライトはコーラフロートを1分も経たずに飲み干し、グラスをテーブルの上に勢いよく置く。
マレイン 「それは良かった」
マレインは微笑むと、コーラフロートのアイスクリームをスプーンですくい口の中へ運ぶ。早飲み競争の勢いですぐに飲み干したライトをよそに残りの3人はコーラフロートを味わう。
全員がコーラフロートのグラスを空にすると4人が座る席に先程の女性店員が姿を現す。
「お、おまたせしました!土魔法が得意な私の兄です」
「こ、こんにちは…。ミラルドと言い…ます」
4人は女性店員の隣に立つミラルドを直視する。アース村に住む男性は大半がマッチョでガタイが良い。しかし、ミラルドの身体は細く身長も高くは無い。何より人見知りなのかどことなくオドオドとした表情をしている。以前のマレインのような表情に似ている。4人は首を傾げ"本当にこの人は土魔法が得意なのだろうか?"と頭によぎる。
だが、マレインは席から立ち上がりミラルドの前に手を出す。
マレイン 「私は…マレーインだ。よろしく頼むよ」
手を出すマレインだが、ミラルドは何かを考えているのかワンテンポ遅れ、手を前に出し握手をする。
「お兄ちゃん頑張って!村一番でぜーったいに強いんだから、自信もって!」
隣に立つ妹に活を入れられ、ミラルドは頷く。
ミラルド 「よろしく…お願いします。と、とりあえず、ここから場所を移しましょう」
マレインが頷くと、全員席から立ち半信半疑でミラルドを筆頭に歩き出す。
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