第27話 ブルー村の海産物
———【ブルー村に着いてから翌朝】
3人は朝を迎えると、支度を済ませ早々と市場へと向かった。周りを見渡すとブルー村の建物やタイルの大半は白色で塗られ、風が吹くたびに潮の匂いがほのかに感じ取れる。市場は左右一直線で屋台のように不漁だが全く1匹も取れないとの状況では無く、少しだけだがちらほらと魚介類が陳列されていた。
リリアは店で陳列されている魚貝を眺め、今日のご飯は何を作ろうか…と考えながら商品を見つめていた。一方、ネイリーは素材屋で様々な貝殻や真珠、海で獲れる素材が陳列されている店を眺めていた。そして、ライトはというと…飲食店に出向き店外に設置されている白い椅子に腰を掛けながらブツブツと独り言をしながらメニュー表を眺めていた。
ライト 「ブルー村のメニューは何がオススメなんだろう…。ホタテ、カキ、アサリ、ウニ、エビ、カニ…どれも美味しそうだな…」
どのメニューを注文しようか…と悩んでいる間に時間があっという間に経っていたようで買い物を終えたリリアとネイリーはライトが席に付いているテーブルの椅子に腰を掛ける。
リリア 「まだ何を食べるか悩んでいたの?」
ネイリー 「ブルー村の海産物はどれも美味しいからな。私のおすすめは『カニ』だ」
ネイリーの提案にライトはメニュー表に記載されているカニの値段を見ると金額の桁数が多く目が飛び出る程に驚いた後、落胆した表情でポロっと声が漏れる。
ライト 「カニはたけーよ…。でもカニ食べたいなぁ…」
落胆した表情を見せているライトからメニュー表をネイリーが奪い、リリアと共に眺める。
ネイリー 「カニはこれ程、値段が張ったのか。知らなかったな」
リリア 「ネイリーは食材を買うってあんまりしないもんね…身分が違うし」
ライト 「カニは諦めて他の物でも食べるか…。3人で食べるとすると何が良いんだ?」
ライトは『カニ』を諦めた後、大きなため息を吐き2人の意見も聞くと、3人でメニュー表を目の前に皆でシェアして食べられる物がないか…と考える仕草をしながら目を追うようにメニュー表を眺めているとリリアが1つのメニューが目に止まり皆に提案をした。
リリア 「この『シーフードピザ』とか美味しそうじゃない??色々な海産物がピザの具になってるみたいだし」
リリアはメニュー表の『シーフードピザ』に指を差し、ライトは値段を確認した後直ぐに手を大きくあげ店員を呼ぶ仕草を見せる。
ライト 「店員さーん!『シーフードピザ』1つお願いするよー!」
「は~い。『シーフードピザ』1つ注文入ったよ~!」
「あいよ」
店員は料理人に注文を言い伝えると直ぐに調理に掛かる。
ネイリー 「ピザ…?というのものは食べたことがないな」
ライト 「俺もシーフードピザは初めてだな。トマトとチーズが載ってるのはよく食べるけど」
リリア 「海産物のピザはあんまり食べたことないよね。楽しみだな~♪食べたら日記付けなきゃ!!」
3人はどのようなメニューがテーブルの上に運ばれるのだろうか…と想像し楽しみながら待機する。そして、リリアは日記を取り出し開き始めるとネイリーが気になったようで声を掛ける。
ネイリー 「リリアは食べた物を日記付けているのか?」
リリア 「うん!美味しい物があると自分で作れたらまた食べられるでしょ??すぐ再現するのは難しいけど自分で作れるようにいつも日記を書いたり、メモをしてるんだ」
ネイリー 「リリアは勉強熱心なのだな。私も自分で作った刺繍や見た物をメモして日記を書こうかな」
関心したネイリーは自分も同様に日記を書こうか…と座りながら腕を組み悩む仕草をしている姿を見ていたライトは冷や汗を出し、焦りながら内心で叫んでいた。
ライト (書かなくていい!書かなくていい!!そんな死人が何人も出そうな恐ろしい日記なんて!!)
会話のやり取りをしていると店員が大きな皿を運び、3人が座っているテーブルの上に料理を置く。
「『シーフードピザ』おまたせ!」
3人はテーブルの上に置かれたシーフードピザが視界に映った瞬間に目を輝かせる。
ライト 「美味しそう~!!!早く食べようぜ!!!」
リリア 「ライト!私が切り分けるから!そのままかぶりつくと皆食べられないでしょ!」
ネイリー 「色々な海産物がパンの生地の上に沢山並ばれていて美味しそうだな」
ライトは一目散にシーフードピザに手を伸ばすがまだカットされていない状態だったのでリリアは手の甲をパシンッ!と叩き阻止する。ライトはふてくされた表情を見せ、リリアは気にせず皆が平等に食べられるように切り分ける。
ライト 「ピザはアツアツな内が食べごろだよな!いっただきまーす!」
リリア 「うん、チーズがトロトロな内にね!いただきまーす!」
ネイリー 「いただきます」
3人は『シーフードピザ』を手で掴むとチーズがびろーんと伸びそのまま口に運び、至福な表情で味を堪能する。
ライト 「これはホタテか…?うめー!」
リリア 「これはアサリかな?おいし~!」
ネイリー「これは…エビか。ピザも中々、美味しいな」
3人は何の具が載っていたかお互いに言い合い『シーフードピザ』を満喫していた。そして、大きな『シーフードピザ』をあっという間に平らげ一息した後、リリアがライトの方を振り向き声を掛ける。
リリア 「ねえ、ライト。昨日、宿屋で話していた事は本当?」
ネイリー 「昨日、寝る前に話していた事だな?」
ライト 「ああ。本当だ」
———【昨日の夜(ブルー村の宿屋にて)】
知らない者に囲まれていた宿屋から気配が消えるとライトは気付いたようで冷静な表情で口を開く。
ライト 「気配が無くなったな」
ネイリー 「ああ。囲まれていたが姿を消したようだ。とりあえず、戦闘にならなくて良かった」
ライト 「しかし、リリアの芝居へったくそだったなぁ~!!」
ロボットのような演技をライトは思い出しケラケラと笑いながら話すと、リリアはムッとした表情で腕を組み視線を逸らす。
リリア 「いきなりだったんだもん、仕方ないじゃん!それで、一体何があったの?」
ネイリー 「とりあえず、今日の住民から聞いた情報を整理しよう」
リリア 「海水の温度が上昇して不漁だって皆、話していたよね?」
ネイリー 「ああ、そうだな」
ライト 「ただ…、一人だけ違う情報を話していたな」
サモン村長と会話をした後、ブルー村の住民に情報聞いた話を3人は回想しながら情報を整理しているとリリアは何かに気付いたようで、はっ!とした表情になり口を開く。
リリア 「サバル…。あの人だけ陸地から離れれば離れる程、魚はまだ獲れるって。でもあんまり遠くに行くと危険だって言ってたね」
ネイリー 「確かに海は急に荒れるかもしれない、ただブルー村は昔からずっと海に行ってたんだ。その日の気候はだいたい読めるハズだ」
リリア 「気候が読めるなら陸地が多少遠くても魚を獲りにいける…!?」
ネイリー 「そうだ。気候が読めるのに住民は船を出さないと言う事は、魚が獲れる場所が分からないから皆、困っているのだ」
リリア 「でも、サバルだけ獲れる場所を知っている…。矛盾している!!」
情報を整理し、鍵を握っている一人に確信まで辿り着いたがライトは険しい表情で口を開く。
ライト 「サバルだけが何で知っているのか突き止めたいけど―――」
リリア 「…?」
ネイリー 「ライト、何かわかったのか?」
少し間が空いた後、続きを中々話せずにいたライトは重い口を開き2人に言い伝える。
ライト 「ああ、あいつ『人』だけど闇を纏っている」
リリア 「!!!」
ネイリー 「な…!!!」
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