第24話 夢…?
ネイリー 「何!?『庶民隠し事件』は3年前の出来事だったな。3年前、魔王軍は何かを狙って動き始めているのか……?」
ライト 「なんだって!?魔王軍がオムライスを食べにここまで狙ってアイスクリームを持ちながら動き始めているだって!?」
静まった中、ネイリーは驚いた表情で声を荒げると熟睡していたライトは反射的に起き上がり大きな声で返答するかのように反応する。
2人はライトの発言を聞き、夢の中で『オムライス』と『アイスクリーム』を食べていたのであろう…と考えながらも沈黙の間が空く。ライトは周辺を警戒しながら見渡すがリリアは冷静になり説得するかのように口を開く。
リリア 「ライト、そんなバカな魔王軍なんていないよ。食べる夢でも見てたんでしょ?」
キョロキョロと落ち着きのない姿で周りを見渡していたライトだが、リリアの発言でこれまでの経緯を思い出すかのような素振りを見せる。
ライト 「そうだ、俺はオムライスとアイスクリームを食べてた!でも目の前に無いって事は……夢か」
リリア 「うん、夢だよ」
リリアは呆れながらため息を吐くと、ライトは夢ではなく現実か…と納得した後、肩の力が抜いていくように落ち着きさを取り戻す。ふと、空を見上げると未だに空は暗く沢山の星がキラキラと輝き就寝する前と、さほど変わらぬ空だった。
ライト 「ネイリー、リリア、寝れないのか?」
ネイリー 「リリアが考え事してしまってたみたいで眠れないみたいなんだ」
リリア 「お父さんとお母さんの事を思い出しちゃってさ…」
ライト 「ああ…。リリアの母さんと父さんは亡くなったんだよな…」
ライトもまた『庶民隠し事件』が起きた後、リリアの口から両親が亡くなった…と聞き、お互い急に心の拠り所がぽっかり空いてしまった状況になっていた。その後、庶民校では数か月間、暗い学園生活が続いていた事をライトも思い出したようで沈んだ表情をしていた。
ネイリー 「ライト、知っていたのか?」
ライト 「リリアとは庶民校を入学してからずっと同じクラスだったからな。幼馴染ってやつだ」
浮かない表情だが、ライトは淡々と関係性を返答すると、次はリリアの方から声を出す。
リリア 「ライト、お父さんとお母さんが亡くなったのって魔物に襲われたって話したよね?」
ライト 「うん、聞いたな」
リリアはホットミルクを飲み干すとカップを床に置き、コンッっと音が鳴った後、冷静を保ち話す。
リリア 「実は、魔王の配下に襲われたんじゃないかってネイリーに話してたんだ」
ライト 「えっ!?魔王の配下!?」
リリア 「うん」
リリアは先程、ネイリーに話した事を説明すると、ライトも驚いた表情をしながら声を荒げる。開いた口が塞がらない…という程、ライトは驚いた表情をしていたがネイリーは冷静に口を開く。
ネイリー 「しかし、それをどこで分かったんだ?」
リリア 「王族や貴族御用達の医療施設『サファイアロイヤルズ病院』で働いていた時に分かったんだよ。でも話すと長くなるから、今度……ね」
リリアは何か思い詰めたかのような口調で話すが、2人はそんな表情を見ながらも追及する事は無かった。この場合、2人はリリアの何か思い詰めている情報の領域に踏み込むのが怖かった…が正しいであろう。そして、ライトは明日の事を考え始めあくびをしながら気弱な声を出す。
ライト 「ふぁぁ~!明日も朝早くから出発するから今日はさっさと寝ようぜ?」
ネイリー 「夜になると活動できなくなるからな。明るいうちにブルー村に向わないとな」
リリア 「そうだね、ホットミルク飲んだら落ち着いたし…寝よっか」
ライトは寝る姿勢になる為、横になろうとしていたがリリアの発言を聞いた瞬間にもう一度身体は座ったままだが直立し大きな声を出す。
ライト 「ホットミルク!?俺も飲みたかった!!」
リリア 「ライトはすぐ寝れるじゃん。今度寝れなくなったら作ってあげるよ」
ライトはホットミルクが飲めず落ち込んだが、3人は横になり空を見上げると周りは暗いせいか幾つもの星が輝いている風景を見ながら瞼を閉じ就寝した。
———【次の日の朝】
太陽が出始め数時間経った頃、ライトはまだ起きる様子が見られないがリリアは朝ごはんの支度をし、ネイリーは昨日作ったクリームシチューを温めている鍋を眺めていた。そして、瞼を閉じたまま寝ているライトは料理の匂いに起こされるかのように反応する。
ライト 「ん…。何か美味しそうな匂いが……」
朝ごはんの用意が終えそうになると、リリアはライトの身体を揺さぶりながら大声で起こす。
リリア 「ライト!そろそろ起きなよー!」
ネイリー 「そろそろご飯だぞ?」
意識があるものの中々起きる様子を見せなかったライトは『ご飯』と聞いた瞬間に飛び跳ねるかのように起き上がる。
ライト 「飯の時間か!?」
リリア 「うん、朝ごはんの時間だよ?」
ライト 「もう朝か!昨日のクリームシチューだな!」
リリアは温めていたクリームシチューを既に器に移していたので、パンと一緒にライト、ネイリーそれぞれ渡す。
ライト 「ブルー村まで後、どのくらいなんだ?」
リリアから器とパンを受け取りながら質問をすると、ネイリーは器とパンを床に置き、マジックマップを出し始め確認する。
ネイリー 「マジックマップを見る限り…まだ4分の1しか進んでないな。何事も無ければ明後日には着くとは思うぞ?」
ライト 「まだ、そのぐらいしか進んでないのか……」
早く依頼を達成したい焦りがあるのかライトは早々にブルー村に辿り着きたい様子だった。リリアはクリームシチューが入っている器とスプーンを持ちながらライトが落胆している表情を見かねて声を掛ける。
リリア 「昨日は出発するのが遅かったし…。気長に向かおうよ?」
ネイリー 「焦っても良いことはないからな。リリアの意見に同意だな」
3人は昨夜食べたクリームシチューを一晩寝かせたお陰か、味が染み込んでいたのでより一層に美味しくなり口に運ぶスピードは衰える事が無く、綺麗さっぱりに完食した。そして、出発する準備が済むと3人は集落の長にお礼を言いブルー村に向けて再度、出発した。
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