第12話 ネイリーの得意事
星空が広がる中、ネイリーに別れを告げるとライトは家に帰宅する。お腹が膨れ上がりふわぁ~とあくびをするとベッドにダイブし大の字で横たわる。
ライト 「はー!オムライス美味かったなぁ。ってか今日の討伐したゴブリンも話してたよな?昨日戦ったイノシシの魔物も話してたんだよな~…昨日のも魔獣だったのか?」
ライトはベッドで横になりながら目を閉じ昨日と今日の出来事を整理する。
ライト 「う~ん…。魔物と魔獣…あぁ~~!考えても分からない!」
目を見開くと頭を抱え込み、大声で叫ぶ。
ライト 「ネイリーに明日、逢った時にでも聞くか!―――でも王族のネイリーと本当に仲間になるとは思わなかったな~」
ライトは天井を呆然と見つめながら共に行動したネイリーとの出来事を思い出す。
対抗戦で面と合わせた貴族校の同級生の印象は悪く、むしろ良い思い出など一つも無かった。顔を合わせば貶す言葉を数々吐かれ、身分だけで庶民を人間否定する曲がった性格。
だが、今回の依頼の件でネイリーと共に行動しライトは"貴族でも人の心を持っている者は存在する"と実感した。口調は確かに荒いが、ネイリーの人間性は真っすぐで意志の強い女の子だ。
ライト 「やべ!明日ネイリーと朝には集合約束してるから寝ないと!」
ネイリーとの行動を思い出し心が温まると、ライトは起き上がりランタンの灯りを消す。そして、ベッドの上で瞼を閉じるとあっという間に寝息の音をたて就寝する。
———【翌朝】
部屋に日の光が差し込むとライトは瞼を半分開けベッドから起き上がる。
ライト 「ん…ネイ…リーと…。ネイリーと集合の約束をしているんだった!」
朝に弱いライトだが昨夜の約束を思い出し、ベッドから飛び跳ねるように起き上がる。何せ今日から共に旅をする仲間が増えたのだ。ライトは普段より猛スピードで顔を洗い、簡単に食事を用意すると早食い競争の勢いで口の中へパンを運ぶ。
ライト 「……グフッ!」
急いで食べていたのが仇となりライトは胸に手を当て叩き、水を飲む。
ライト 「ふ~~~。急いで食べ過ぎた…。ご馳走様!」
食器の前で手を合わすと、椅子から立ち上がり歩く。
ライト 「今日から王族と一緒に冒険することになったんだ!んじゃ、父さん母さん、行ってくるよ」
両親が身に着けていたアクセサリーに挨拶をしライトは外に出る。
時刻、朝8時。ライトは集合場所の小さな噴水広場まで辿り着く。辺りをキョロキョロと見渡すがネイリーの姿は無くベンチの上に腰を降ろす。
ライト 「ネイリーはまだ来てないか…。ゆっくり朝メシでも食ってるんだろ!ははは!」
―――【1時間後】
1時間が経過し時刻、朝9時。ネイリーの姿はまだ無かった。
ライト 「まぁ、女子は身支度とかやらで結構時間かかるって言うしな。もうそろそろここに来るだろ」
ライトはベンチに座ったまま、噴水が流れる音を聞きながら根気良くネイリーを待つ。
―――【2時間後】
更に1時間が経過し時刻、朝10時。ライトはベンチに座り顔を俯ける。
ライト 「ネイリー遅いな。やっぱり庶民の俺とは仲間になりたくなかったのかな…」
約束した時刻から2時間も経ち流石のライトも顔から笑みが失せる。
ライト (やっぱり冷静に考えたら王族が庶民の仲間になるなんて事は無いよな…。いや、ネイリーはそんな人じゃない!きっと来る…)
ベンチに座り、ライトはネイリーを信じ待ち続ける。顔を俯けているライトの背後から微かに足音が聞こえ振り返る。
ネイリー 「ハァハァ…。すまないライト、またせたな」
必死に走るネイリーの姿が視界に映り、ライトはベンチから立ち上がる。
ライト 「ネイリー!2時間も遅刻だぞ!やっぱ仲間になってくれないんじゃないかと不安になったぞ!」
ネイリー 「本当にすまない。2時間も遅刻してしまったな。昨日はあの後夜更かししてしまってな」
ネイリーはようやくライトの目の前まで辿り着き息を整える。
ライト 「へー…?何かしてたのか?」
ネイリー 「ああ。昨夜、ご馳走になったお礼に―――」
ネイリーは腰についている袋を漁る。
ライト 「お!俺に何かくれるか!……!?」
ライトは期待の眼差しで今か今かと待ちわびて手を伸ばすと物が置かれ満面の笑みで直視する。ネイリーから渡された物を目にした途端、ライトの身体は石のように硬直する。
ライト (……えっ?)
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