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 こんな風に大声まで張り上げて大泣きしたのは、いつ以来だろう。小学四年生の時に出場した大会で思い切り顔面から転んで、そのせいで人生初の予選落ちした時以来だろうか。悔しくて、情けなくて、隠れて一人で泣いたっけ。

 あの時も確か今日みたいに人に見られて……、そうだ。その時に見られた人は、変人だった記憶がある。ぼんやりとしか覚えてないけど、人が泣いてるのに妙に突っかかってきて。「どうして泣いているんだい?」とかなんとか、おかしなことばかり聞いてきたっけ……。

 なんて。

 どうして昔のことまで思い出してしまったんだろう。ますます羞恥心にかられたオレは、同じくベンチに座っている先輩の胸に頭を預けたまま、気恥ずかしさから、ぎゅっと下唇を噛みしめる。

 目も鼻もひりひりして、ひどく痛む。鏡を見なくても分かる。ピエロの鼻みたいに真っ赤になってるって。

 その上、先輩の服は、オレの涙やら鼻水やらで、すっかりぐしょぐしょに……。それなのに先輩は、なに一つ文句を言わない。ただオレの頭を優しくなでてくれている。

 なんだろう、すごく落ち着く。こんな気持ち、初めてで。先輩には悪いけど、もう少しだけでいい。このままでいたい……。

 なんて思ったのも束の間。突然後ろから、がさがさと不審な音が聞こえてきた。ふいと振り向くと、

「うわあっ!!?」

 視線の先の茂みの中から、ばたばたと複数の人影がなだれ落ちてきた。その光景にオレの目玉は、ぎょっとデメキンみたいに大きく飛び出した。

「なっ、なっ……!??」

 なんで、みんないるんだよ——っ!!?

 地面に転がっているのはアッキーにシューイチ、ヨッシー先輩にマミコ先輩、それからリアとショウコ。その後ろには、きーちゃん先輩にルネ、ロミまでいる。つまりは演劇部全員だ。

 もしかしてオレたちのこと、ずっと尾行してたのか? 全部見られてたのか……?

 だめだ、死のう。

 もし目の前が断崖絶壁だったら、オレは一抹の躊躇もすることなく確実に飛び込んでいただろう。顔も頭も背中も手足も、全部が高度な熱を持つ。火にかけられたヤカンの気分だ。

 だけど残念ながら目の前は崖ではない。そして、オレはヤカンでもない。みんなのことをにらむことしかできないでいると、シューイチがズボンに付いたほこりを手で払いながら立ち上がって、

「よかったなあ、ジュリちゃん。部長に優しくなぐさめてもらえて」

 にたにたしながら言いやがった。

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