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 ミオ先輩とヨッシー先輩との奮闘を観戦していると、不意にガチャリと外側から扉が開いた。そこには隅々まで人工的に整えられた顔に、肩下まである髪を緩く巻いた女生徒が立っていた。中学生にしては、なんだか老け……、げふん、ごふん、大人っぽい人だ。

 彼女はオレのことを見るなり、怪訝そうな顔をした。

「ソイツ、誰?」

「おお、マミコ。遅かったではないか。紹介するよ。我が愛しのジュリエットだ」

「ジュリエット……? ジュリエットって、あの?」

 マミコさんはじろりと眉間にシワを寄せ、オレを見つめて……いや、もしかして、にらまれてる……?

 やはりどう考えても、マミコさんはオレのことをにらんでいる。困惑していると、シューイチが、ぼそりとオレの耳元でささやいた。

「彼女は垣根かきね魔美子まみこ先輩、三年生や。マミコ先輩は、部長にホの字やからなあ」

「ホの字? ホの字って、まさか……」

「そのまさかや。本当はマミコ先輩がジュリエットのはずやったんや。せやけど、まんまとジュリちゃんにその座を奪われちゃったからなあ」

 確かにミオ先輩、外見だけはカッコイイからな。……中身はすっごく残念だけど。

 ん? ってことは、もしかして。オレ、マミコ先輩に恨まれてるのか……?

「入部早々、ライバルの出現やな。なんや、ジュリちゃん。変な顔して。ああ、大丈夫やって。問題あらへん。ジュリちゃんも、すぐここの空気に染まるやろうから」

 安心しい、とシューイチは、けらけら笑いながら慰める。そんな気休めなんていらない、とオレは心の中で真摯に訴えた。



 本当に、ここの空気に染まってしまう日が果たしてやって来るのだろうか。

 それはすごく嫌だなあ、と遠巻きににらんでくるマミコ先輩の視線をどうにかかわせないかと奮闘しながら。やはりオレの苦悩の日々は、まだまだ続きそうである。

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