第6話  室内侵入

「さーて、ここからどうすっかな……」


「——だね。確か、雪菜の部屋に入るためには、色んな仕掛けを乗り越えないといけないんだっけ?」


「そうそう。これだから、厳重警戒されたところに入るのは、面倒なんだよ。お前も一応、ペイント弾用の銃だけは装備しておけよ。普通の銃だと、注目を浴びるからな」


「分かってる、分かってるって!」


 涼音は、銃を持って構える。


「じゃあ、行くか」


「りょーかい!」


 二人が、防犯カメラからの死角を狙って動き始める。


「涼音、まずは、あそこの防犯カメラを狙え」


「あいよ!」


 涼音は、五〇三号室の前にある防犯カメラをペイント弾で狙う。


 だが、それだけで、容易に侵入できる場所ではない。


 防犯カメラの他にも赤外線センサーの装置も設置されている。


 これを搔い潜り、如何に素早く侵入できるかが、鍵になる。


 秀司は、扉の前に立つと、サプレッサーを取り付けた銃を使って、五発ほど撃って、鍵の部分を破壊する。


「入るぞ!」


 秀司は取手を回して、扉をゆっくり開ける。


「中はどうなっているの?」


「暗いな。どうやら、俺達が侵入されたことは、気づかれているだろうよ」


「ええ! それじゃあ、さっきまでの行動に意味があるの?」


 二人は小声で話をしながら、ゆっくりと、室内の侵入に成功した。


「ここからは気を引き締めていけ、銃も実弾に入れ替えろ。向こうは侵入者対策をしてくるはずだからな」


「はーい」


 足音を立てずに、廊下を進み。部屋の奥へと歩いていく。


 秀司は手を使って、涼音に合図を送る。


 どうやら、扉に仕掛けがされているらしい。


 涼音は、小さく頷いて、後ろへと、そっと移動する。


「いくぞ。3、2、1……」


 扉を開けると同時に、秀司は、後ろへと退避した。


 扉があいた瞬間、爆音と同時に閃光を放つ。


「ちっ、M84か……」


 涼音は、目を瞑りながら、両耳を抑えた。


 爆音も最小限に抑えられ、近隣住民に迷惑が掛からない程度にされている。


 光が収まると、秀司はすぐさま、部屋に移動し、銃を構える。


「どうやら、今回は、あいつが間抜けだったという事だな」


 秀司は銃を下ろし、床のふかふかのマットでぐーぐーと、寝ている少女を見下ろした。

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