第4話  当てを探すために

「いい天気だな」


「そうだね。で、これからどうするの?」


 秀司と涼音の二人は、朝から外に出ていた。


 喫茶店の方は、臨時休業としている。


「それにしてもこのおじさんの足取りをどうやってさがすの? 米谷さんが、警察のシステムを使っても、行方を暗ますほどの人物だと、私達で、探せるわけ?」


 昨日渡された写真を見ながら、難しい顔をする。


「その事なんだが……。当てがないってこともない」


「と、言うと?」


「あいつに頼むしかない」


 秀司は、少し嫌な表情をする。


「それって、雪菜に会いに行くって事!」


 と、一人、ワクワクしている涼音は、テンションが高い。


「そんなに、あいつに会いに行くのが楽しみなのか?」


「何を言ってるの。雪菜、私にとって、可愛い妹だから家族当然じゃん! そ・れ・に、雪菜をモフモフするのが、またいいんだよ!」


「それが、お前があいつから距離を置かれている理由だという事にそろそろ気づけよ」


 涼音が、色々と妄想している中、二人は、電車に乗って、移動する。


 二人が話している『雪菜』という人物は、電車に乗って、三十分の場所に住んでいる。


 さすがの東京でも、人口が多く、住むところも一筋縄ではいかない。


「でも、なんで、雪菜に頼むの?」


 電車で移動する中、二人は席に座りながら、話を進める。


「警察が使えねぇーなら。この日本で一番のハッカーであるあいつなら、こんなの朝飯前だろうよ。それに、たまには様子を見に行かないと、あいつ、いつか死ぬだろ。生活感なさすぎるし……」


「なるほど。どれだけ、私達が足を使っても無駄だと……。そして、あわよくば、従業員を手に入れるって訳だね!」


「いや、あいつには従業員、向いてないだろ。働いたら負けだと思っている人間だぞ」


「ああ、いいの、いいの。店のマスコットキャラクターにしておけば、バッチオーケー‼」


 涼音は親指を立てて、ウィンクする。


「そんなにあいつを店で働かせたいなら、お前だけで勧誘しろよ。俺は、そこまではしない」


「オーケー、オーケー。そこは分かった。では! いざ、出陣だ‼」


 拳を挙げて、扉が開いたと同時に駅のホームに降りた。

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