第2話 閉店後の訪問者
「今日の売り上げは……。まあまあだな……」
レジで売上金を電卓で計算しながら、若い男は帳簿に記入した。
年齢は二十代。
従業員の少女からは、『秀ちゃん』と呼ばれており、これは彼の名前から取ったあだ名である。
本名:三上秀司。
この喫茶店【クローバー】の店主である。
「まあまあって、それ、大丈夫なの? ここ最近、忙しいのはいいんだけど、せめて、もう一人従業員を増やそうよ。ねぇ、聞いてる? 秀ちゃーん⁉」
と、先程まで、客がいた場所のテーブルなどを布巾でふき取り終えた少女が言った。
「あー、聞いてる。聞いてる」
秀司は、適当に受け流す。
「それ、絶対に聞いてないでしょ。さすがの私も、一人だけの接客だと、疲れるの!」
ワガママと文句しか言わない少女は、カウンター席に座って、オレンジジュースを飲む。
年齢は秀司よりも若く、歳は十六歳。
本名:星野涼音。
この喫茶店【クローバー】の従業員である。
「あーそれと、片付けが終わったら、今日は切り上げるぞ。早く、終わらせろ」
「へーい……」
面倒くさそうに返事をする。
カラン、カラン。
と、店のドアに取り付けてあった鐘が鳴る。
「あ、すみません。今日は閉店しました」
涼音は、入ってきた人物に言った。
「相変わらずだね、涼音ちゃん」
涼音の名前を呼ぶ人物は、ずかずかと、店内に入ってくる。
「ああ、米谷さんでしたか。今日は、何の御用で?」
「秀司に用があってきたんだよ」
「俺に?」
丁度、帳簿の記入を終えた秀司が言った。
男は、涼音の隣に座る。
「そうだ。仕事の依頼だ。頼めるか?」
「仕事ね……。相変わらず、日本の平和を守る人が、こんな何も取り柄もない店主に依頼か……。で、どのような内容なんだ? 明人」
秀司は、冷蔵庫の中から今日余った、アイスコーヒーを男:米谷明人に出す。
年齢は、秀司と変わらない青年である。
「今回の依頼は、こいつの調査を依頼したい」
明人は一枚の写真を秀司の前に出した。
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