俺、起きたよ!

 う~んひんやりして気持ち良い~あれ、俺どうしてひんやりした場所に居るんだろう?確か、井戸を直して大地と植物を復活させたら魔力切れで眠くなっちゃってそれで・・・・


あっ!


「キュゥ!!!」

 

 眠ってしまった事を思い出した俺は、目を開き起き上がろうとして水の上に居ることに気づいた。今は人間の姿を取ってるのに、龍の時の鳴き声が出ちゃったのは気にしないでね。


「クーア!?」


 俺が起きたのにいち早く気付いたのはウォルで、すごく心配そうな顔をしてるけどどうかしたのかな?周りを見てみるとみんなが俺を囲むようにして立っていた。お日様はまだ俺達の上にあるし、寝てからそんなに時間経ってないのかな?あれ、でも魔力回復してるんだけど・・・・


「クーア大丈夫なのか?辛いところや痛いところは無いか?」

「ん~大丈夫だよ~」

「そうか・・・・良かった・・・・怠かったりしたらすぐに言って欲しい」


 可笑しいな?なんでウォルはそんなに悲しそうな顔してるんだろ。ウォルだけじゃないみんな悲しそうな顔をしてる・・・・水も大地も植物もすべて元通りにしたはずなのに・・・・喜んでないなんて・・・・

 俺間違った事しちゃったかな・・・・もしかして、もっと水が必要だったとか!?それなら、俺がもっと出してあげるよ!


「ねぇねぇ水もっと欲しい?」

「は?」

「俺もっと頑張るよ!ちょっと待ってね」


 俺はウォルに井戸から出してもらったけど、もう一度井戸の縁に立ち魔法を発動させようとしたら


「クーア!待て!水は要らない十分だ!」


 ウォルが力強く俺を井戸の縁から降ろすと。俺と目を合わせ力強く言う。何時も優しいウォルが少し怖い。じゃあ、なんでみんな悲しそうなの?


「そうなの?・・・・じゃあ、何が足りないの?」

「いいんだ、クーアもう十分なんだクーアは何もしなくて良いんだ」

「そうです、クーア様もう頑張らなくて良いんですよ」

「これからは、俺達が何とかしてくからクーア様はしっかり休んで!」

「うむ」


 それって俺はもう要らないってこと・・・・?やっぱり俺みんなが嫌になることやっちゃったのかな。


「皇子、重要なことを言い忘れてるよ」

「あ、そうだな。クーアすまない、俺はクーアに甘えていた。もう二度とクーアには無茶をさせないように誓おう。そして、クーアはもう国の為に大地を再生しなくて良いんだ。これからは俺達がその役目を担う」

「え・・・・」


 なんで?だってウォル達の国が大変なんでしょ?俺の力が必要なんでしょ?なんでそんなこと言うの?俺頑張ったのに


「皇子違うよ、その事じゃない」


 グレタは大きくため息をつくと、俺の前に目線を合わせていた4人を退かし跪くと


「クーア様、砂の民を代表して言わせて頂くこの大地を、この町サスヴァンを救って頂きありがとうございます。私には、この礼を返せるほどの物を持っていませんが望むことは何なりとお申し付けください。私のすべてを持ってお答えしましょう」

「「「「「「クーア様ありがとうございます!!!!!!!」」」」」」


 井戸の周りに居た人達が一斉に跪き俺にお礼を言ってくれた。みんなウォル達と違って笑顔で嬉しそうだ。良かった・・・・町の人はみんな元気になったんだね!じゃあなんでウォル達は嬉しそうじゃないんだろ


「っすまない、クーアこの町を救ってくれてありがとう」

「「「ありがとうございます!」」」


 ウォル達も慌ててお礼を言ってくれたけど、やっぱり少しだけ悲しそう。


「うん、元気になったみたいで良かった!」


 みんな喜んでいるみたいで良かった!でも、ウォル達が気になる・・・・


「でも、なんでウォル達は悲しそうなの?」

「いや、悲しいわけではない」

「じゃあなんで?」

「クーアを心配してたんだ。俺が頼んでしまったから無理をさせてしまったんじゃないかって」

「そうなのか~でも、大丈夫!魔力は全部回復したから!」

「そうか・・・・それは良かった」


 うん、これで心配しなくて大丈夫だよね。ウォルも安心した顔になったし全部解決~


「じゃあ、これからどうするの?」

「クーアは一日寝てたんだ。今日はゆっくり休んで明日出発しようと思ってるんだが・・・・大丈夫か?」

「うん、もう元気だから大丈夫だよ!」

「そうか」


 ウォルは優しく俺を抱き上げると、一旦グレタの家に戻るらしい。俺歩けるよって言ったけど下ろしてもらえなかったから、ウォルに歩きは任せちゃお~と。町を歩いていると、抱かれている俺に気づいてみんな手を振ってくれる。みんな笑顔で満ちていていいね!


「あの!」

「どうかしたのか?」


 後ろから声を掛けられて振り返ると、二人の女の子が立っていた。ウォルは二人に合わせてしゃがむと女の子は満面の笑顔で


「これクーア様に!」

「二人で作ったの!」


 二人は後ろに隠していた花冠を俺に見せくれた。花冠は小さな水色と白色の花で作られていて、冠の全面にお花が有って凄い可愛い!!!俺貰っていいの?

 ウォルが二人から受け取ろうとしたけど、こういうのは直接貰わないとね!俺は勢いよく下りて二人の前に立って笑いながら


「貰って良いの?」

「うん!」

「クーア様が生やしてくれた花で作ったの!」


 そういえば、この花は星の記憶から作り出した花だ!綺麗だと思ってたけど花冠になると可愛くなるね!二人から受け取って頭に載せて一回転すると、


「ありがとう!似合ってる?」

「うん!クーア様可愛い!」

「この花ねいっぱい有ったんだよ!今まで見たことなかったのに!」

「そっか良かった~みんなで育ててね~」

「「うん!」」

「じゃあね~」

 

 そっか~いっぱい生えてたなら安心だね。そう簡単に絶滅することは無いと思うけど、これからも大切にしてね。俺は二人に手を振って別れるとまたウォルに抱っこして貰って歩き出す。


「良かったなクーア」

「クーア様似合ってますね」

「クーア様可愛い!」

「うむ、小さな花だが可愛らしいな」


 みんなに自慢するように見せたらみんな褒めてくれた! うんうん、可愛いよね!枯れたり壊れたりしないように時間止めておこっと


「そういえば、クーア様ぬいぐるみは何処にいったんですか?」

「しまってあるよ~」

「?クーア様鞄持ってないよね?」

「うん」

「じゃあ、何処に?」

「ここ~」


 俺は空中に俺の大切な物をしまっているポケットを作り出して、スナネコさんを取り出して見せるとみんな立ち止まってしまった。


「どうしたの?」

「クーア様空間収納使えるんですか!?」


 レイランが凄い勢いで顔を近づけてきたから吃驚したけど、そういえばそんな名前の魔法だっけ?


「たぶん~?」

「え、そこ曖昧なんですか!?」

「うん」

「クーア、空間収納という魔法は世界でも使える人間は数えられるほどしか居ないんだ」

「その一人はうちの魔法師団団長だぜ」

「そうなんだ~」

「いや、そうなんだで済ませないでください!?」


 レイランはそう言うけど、なんとな~くで出来る魔法だからどうやって使ってるか説明を求められても困る。ただ、空間を作ってその空間と繋げたり閉じたりしてるだけだもん。

 レイランって魔法の事になるといつもと違うから面白い。だけど、俺に聞かれても説明できないんだよね~ごめんね~

 レイランに質問されながら歩いているとグレタのお家に着いた。グレタは用事があるから先に家に戻っておいてくれって言われたんだよね。だから、お家にはぃつて俺達が泊ってる部屋に戻ってゆっくりすることにした。


 さっきのウォル達の話を思い出してみるけど、きっと心配だからあんなこと言ってたんだよね。俺ならもう大丈夫だから心配する必要は無くなったんだしあの言葉も無かったことになるよね。


「クーア、本当に体は大丈夫なのか?」

「うん、もう大丈夫~倒れちゃったのは眠くなっちゃっただけだから」

「そうか・・・・しかし、あんなに魔力を使うなんてそんなに汚染した魔力が濃かったのか?」

「ううん、星の記録を見に行ったら疲れちゃっただけ~」

 

 みんな固まっちゃったけど、これさっきもあったぞ?この流れならレイランが・・・・


「星の記録を見たんですか!?」


 やっぱり来た~


「人間は無理だよ?」

「だとしても、仕組みを教えて欲しいんですが・・・・」

「無理!」


 レイランは断った後も色々質問してきたけどあれは感覚でやってるし、そもそも人間じゃ無理だから教えませ~ん。逃げるようにシャールクの膝に乗っておやすみなさい! 

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