俺、井戸を浄化するよ!
俺達が井戸に向かっている間にグレタにお願いをしたんだけど、そのお願いというのが
「クーア様これで良かったのかい?」
「うん!ありがとうっ」
「いや、これぐらい何ともないけどどうして住民を集めたんだい?」
そう、俺のお願いは井戸の周りに住民を集めてもらう事。特に来てほしかったのが怪我をしている人や体調が悪い人。だから、色々な人に手伝ってもらいながら、連れてきてもらったよ。理由は単純に癒すため。少し離れていても治すことは出来るけど、しっかりとその人に合った治し方をした方が良いと思ったから集まって貰ったのだ。
俺はウォルに降ろしてもらい、歩いて井戸まで行き下を覗いてみると井戸に汚染された魔力が大量に溜まっていた。
これ放置しておくと永遠と魔物が生まれちゃうね。
井戸は大きくて、水を汲むための桶が4つ置いてある。井戸の周りは、床に溝があって綺麗で細かい装飾が掘ってある。これは井戸というより、水が溢れていた広場って感じだね。きっと水が流れていたら綺麗なんだろうな~
「それじゃあウォル、レイラン、シャールク、アルベルド、グレタこっち来て~」
「分かった」
「えぇ」
「おう!」
「うむ」
「分かったよ」
集まって貰った住民のみんなはこれから何が起きるのかを知らされてないみたいで、不思議と不安が半々って感じだね。怪我をしてる人は結構居るみたい。体調が悪そうにしてる人は、少しだけ汚染した魔力を浴びちゃったみたいだね。
みんな命に関わるようなものでは無いけど、治した方が良いよね。俺は井戸の縁に立つと、みんなを振り返るとみんな跪いて頭を下げていた。
最近この場面がよくあるから驚かなくなったけど、ウォルって一応皇子だよね?皇子って王の息子だから、偉い人だって村の人が言ってたからこんなに頭を下げても良いのかな?
まぁウォルだし・・・・それじゃあさっさと浄化しちゃおうか。
まずは、汚染された魔力がどれくらいあるか調べないとね。目を瞑り意識を集中させると、体を空中に浮かせ魔力を地中に向けて放ち汚染された魔力の量を確認する。
かなり多いね・・・・元々有ったんじゃなくて何処かから流れ込んでるみたい。
流れ込んできている訳じゃ無ければただ浄化して終わりなんだけど、流れ込んできているなら元を絶たないと永遠に汚染されちゃう。だけど、俺の探知でも届かないくらい遠くから流れ込んでるから元を絶つのは無理だね。
なら、流れ込んできても常に汚染を浄化できるようにしておけば良いね。
やり方を決めた俺は目を開けて、次にウォル達の魔力を感じ取り魔力を限界ギリギリまで浄化に使わせてもらう。ウォル達の魔力全員優しくてキラキラしてるから好きなんだよね~こうやって集中して魔力を感じ取ると、確かにウォル達の魔力や魂に少しだけ違う力が混ざってるのが感じられる。
ウォル達を優しく包み込むような加護の魔力。ウォル達が遥か昔って言ってたし、この時代まで残ってるなんて凄いな~。グレタが耐えられたのもこの加護のおかげかも?
会ってみたかったな~
今はいない守護竜の事を考えながら、どんどん井戸に溜まっている汚染された魔力を浄化し、汚染された魔力はキラキラと光る魔力へと変わって空に舞っていく。光の噴水みたいでずっと見てたいくらい綺麗だけど、ウォル達が魔力切れでふらふらだから早くやらなきゃね。
俺は一気に浄化を早め、井戸を綺麗にしていく。早めたことで噴水が噴火みたいになっちゃったけど悪いものじゃないからいっか。住民の人は顎が外れちゃうんじゃないかってくらい口を開いてるからちょっと面白い。
浄化は終わったから次は~水と大地の再生だね!
まず、大地の記憶を読み取る。この大地にはどんなふうに水が流れてどんな植物が生えていたんだろう?ふむ~元からそんなに多くの植物は生えてなかったみたい。多くの植物の種は地面の下に眠っているけど一部完全に消えちゃった種もあるね。じゃあ、それは星の記憶から作り出すしかないかな・・・・この魔法って魔力とっても使うからあんまりしたくないけど仕方ないね。
水は町中に通っていてこの井戸は常に水が溢れていて、地面の装飾に水が流れ込んでいて綺麗だったみたい。町中にも水が通るための装飾があったみたいだけど、水が溢れなくなってから使わなくなって消えちゃったみたい。
う~ん、どうせ直すなら綺麗になった方が良いよね!俺も実際に水が町中に通るとこ見てみたいし!
でも、俺の魔力でも大変だからまずは水を通してからだね。此処の水はもう枯れてしまっているから、俺が町まで伸ばして着水を引っ張ってきてっと。よし、次はこの水を増幅してあげればっ!
ドンッという音と共に井戸から水が吹き上がり、みんなに水の水滴が降り注ぎ日差しに照らされ虹が空に掛かった。
おお~ちょっと力入れすぎちゃったかな?でも、みんな喜んでるみたいだしいっか。この水には俺の力が混ざっているから、水滴に浴びるだけでも怪我や汚染された魔力を浄化してくれるよ。
町の人達を治してあげるつもりだったけど、これは予想外。だけど、治しはしてるから問題なし!
それじゃあ、湧き出した水を操って地面を伝わせて装飾の溝に通していくと、見えにくかった装飾が綺麗に浮き上がってきた。装飾は動物や植物が多いけど井戸の周りに彫ってあるのは井戸を抱き込むように彫られている二人の竜だ。
おおぁ、凄~い!!カッコイイ!どっちがエルディランとヴィラスなんだろう?ウォルに後で聞いて見よっと
それじゃあ、水を町中に通してっと。水の操作ならクーアにお任せっ町中何処にでも水を通せるし、水で動物の姿だって再現できちゃうんだから!そうだっスナネコを水で作ってみよっと!
スナネコの形をした水が水を引きいて町中を巡るなんてすごく可愛いと思うんだ!俺は沢山のスナネコを作り町中を走らせ水を通し装飾を復活させていく。
井戸に集まらなかった人達も、スナネコの姿を見て驚いてるけど手を振ってくれる人たちもいる。喜んでくれてよかった~
よし、これで町中に水が通ったよね。後は大地の再生と星の記憶から消えた植物達を復活させなきゃね。
この作業は何時もより集中しないといけないので、目を瞑って俺が入れるくらいの水球を作り出てそこに入り座り込む。水の中に入った方が集中できるんだよね~
さぁ大地さん植物さん起きてくださ~い。町中に巡らせた水を大地にしみこませて疲労した大地に栄養と生命力をあげて、植物が育つ土壌とこの環境に耐えられるようにしてあげる。そして植物には育つための水と栄養、生命力をあげて芽吹かせてっと。
無理やり生命力を引き出すと命が悲鳴をあげちゃうから、あくまで俺は手助けしてるだけ。
そして最後のこの魔法が一番大変。意識を深く深く地面の底まで潜らせていく。潜っていくと色々な声が聞こえてくるけど、もっともっと潜らないと。俺が目指すのは、この星の核となる魂。全てを記録し、すべての生命の源となる場所へ
深く潜っていく旅魔力がどんどん持ってかれていく。復活させる魔力も残しておかないといけないのに・・・・魔力の半分を使ってやっとたどり着いた星の魂。俺は植物の記録を覗き元々サスヴァンに在った植物を見つけ出して記憶したら、一気に地上へと意識を戻していく。
探すのは簡単だったけどまた魔力持ってかれちゃった。この魔法本当に疲れる!
意識を戻した俺は、水から出て大地に手を付けると記憶した植物を残ってる魔力を使って作り出す。作り出すために集中し、もう周りの声は聞こえない。魔力が集中しバチバチと光始めるけど、気にしてられない。ただ、種を作り出すために集中する。
さぁこの星に戻っておいで。
額に汗をかきながら、植物の種を魔力から作り上げると地中に埋めてあげて水をあげておく。
本当は芽吹かせてあげたいけど、もう魔力が限界・・・・
凄い眠い・・・・起きてられない・・・・
「クーア!!!!」
ウォルが呼んでるけどもう無理・・・・おやすみなさい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます